拡大しつづける『コードギアスサーガ』はセカイ系的想像力を超克する。(2034文字)
ぼくの場合、じっさいには1000円分観ているとはとても云えないのだけれど、時々、なつかしの作品を観返したりできることはとても楽しい。
きょうも『コードギアス 反逆のルルーシュ』のある回を観た。いや、ほんとうにこのアニメは大好きだ。
歴史に名をのこすほどの傑作ではないかもしれないけれど、このあざとさ、やりすぎ感が何ともたまらない。
あとから一気見するより、リアルタイムに放送されるエピソードを追いかけたほうが楽しい作品だと云えるだろう。
ちょっと不条理なほど逆転また逆転がつづくスリリングな展開を楽しめる。じっさい、継続して視聴していた頃は「え? いったい何が起こったの?」の連続だったものだ。
そのあざとく視聴者を裏切っていくところが、作品の普遍的価値を損ない、歴史的名作と呼ぶ値するだけの品格を削いでいるという側面もあるだろう。
しかし、とにかくただ展開を追いかけるだけなら、これほどおもしろいアニメはめったにない。
過剰なまでに個性的な美形キャラクターたち、ケレン味たっぷりの演出の数々、そしてスピーディかつ意外性たっぷりな展開、と最高の中二病アニメと云えるのではないだろうか。
『反逆のルルーシュ』は、世界を統一する皇帝となった主人公、ルルーシュの自己犠牲的な死によって幕をとじる。
しかし、かれ以外の人物に焦点をあてた『コードギアスサーガ』は、いまなお、アニメ『亡国のアキト』や漫画『双貌のオズ』によって続いている。それぞれ出来不出来はあるが、おもしろい作品である。
『反逆のルルーシュ』の時点では、『コードギアス』は、世界に反逆する少年ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの強烈な個性なくして成り立たないかのように思えていた。
しかし、『亡国のアキト』や『双貌のオズ』を見る限り、実はこの世界はルルーシュがいなくても成立するだけの深さと広がりとを持っていたようだ。
むしろこのサーガはルルーシュから解放されることによっていっそう広がりを獲得したようですらある。
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