タイトルの魔力―作品・人名・商品のなまえ学 (中公新書)

 ここ数日、わりと真面目に更新しつづけて、そろそろ疲れたので、気楽な話でも。記事タイトルの話です。ブロマガに限らず、ブログ一般にとって記事タイトルはきわめて重要です。本文が読んでもらえるかどうかはタイトルしだいだといっても過言ではありません。

 したがって本文の内容を的確に表し、しかも読みたい気もちにさせるタイトルを付けなければなりません。これはなかなか気を遣う仕事です。ブロマガの場合、タイトルには文字数制限があり、50文字以上のタイトルを付けることはできません。ぼくはタイトルの末尾に「(××××文字)」という表記を付けているので、実質42文字ですね。この42文字を最大限に使って魅力的なタイトルを付けることがミッションであるわけです。

 まあ、いうのは簡単であるわけですが、じっさいいつも良いタイトルを付けられるかというとそうでもない。むしろ考えに考えた上で悔いが残るタイトルになることがほとんどです。

 このブロマガを長く購読されている方は、ここ最近のぼくのタイトルの付け方の特徴に気づかれていることでしょう。つまりタイトルを二文で構成するやり方です。「どうしようもないことをどうにかする方法はあるか。『銀の匙』が問いかけるリアルな問題。」とか「宮沢賢治と太宰治と。綺麗な心に生まれなかったひとはどうやって生きていけばいいのか。」といった調子ですね。

 ちなみに前者は42文字で、後者は41文字です。いかにぼくが与えられた文字数を限界まで使って情報を詰め込もうとしているのかわかろうというものでしょう。

 なぜ二文で構成するかというと、当然、一文より情報量が増えるからです。より正確にいうなら、「フック」を増やすことができる。フックとはこの場合、それを見たひとの注意を集めるキーワードのようなもので、たとえば「宮沢賢治と太宰治と。綺麗な心に生まれなかったひとはどうやって生きていけばいいのか。」というタイトルは、宮沢賢治や太宰治のファンに向けたフックがひとつあり、「綺麗な心に~」という文章にひっかかりを覚えたひとに向けたフックがひとつあるわけです。

 このフックは偶然に挟まれるものではなく、完全に意図的に計算されて埋め込まれています。どういう言葉でどういう層を集めようとするか、それがタイトル付けの基本であるわけです。

 で、具体的にどうするかいえば、たとえば固有名詞を使う手があります。「『ジョジョ』、『刃牙』、『バガボンド』。漫画は「最強」の幻想をどう処理してきたのか。」などは『ジョジョ』、『刃牙』、『バガボンド』と有名漫画のタイトルが三つも入っていますね。

 これはそれだけでフックが三つあることを意味しています。『ジョジョの奇妙な冒険』や『バガボンド』のファンが読んでくれることを期待しているわけです。とはいえ、固有名詞を出してしまうとその作品に興味がないひとを遠ざけることになってしまいかねないので、ここらへんはむずかしいところ。