弱いなら弱いままで。

漫画家で考える「慣れ」と「燃えつき」。どの程度のテンションが適切なのか見きわめよう。(2557文字)

2012/12/08 14:19 投稿

  • タグ:
  • 漫画
  • 曽田正人
  • ★★★★
capeta(30) (KCデラックス)

 どもども、「いま飛ぶ鳥落とす勢い」の海燕です。……いや、ぼくがいったんじゃないよ? いくらなんでもそこまで増長していない。ブロマガ「未来の普通」を読んでいたらそう書いてあったんです(http://ch.nicovideo.jp/article/ar21295)。

 このブロマガでは以前も記事を取り上げていただいたことがありました。今回も『エヴァ』の実況放送を聞いていてくださったようです。ありがたいことです。感謝の正拳突きを10年くらい続けたいところですが、そうもいかないので、ここに記しておきます。

 まあ、そういうわけで、本文に入りましょう。3日前にぼくが愛読している『月刊少年マガジン』が発売されたばかりなので、その話でも。いや、この雑誌、やけにおもしろいんですよね。

 たぶん編集部が有能なんだと思うけれど、超長寿連載の『鉄拳チンミ』から、比較的新しい『四月は君の嘘』、『てんまんアラカルト』にいたるまで、どの作品も清新で、気合いが入っていて、おもしろい。『capeta』や『修羅の門』なども人気作も安定して読ませる。ほんと、いい雑誌です。

 ただ、個人的には『capeta』や『修羅の門』に関しては注文を付けたいところがなくもない。やっぱりこれらの作品に対してはそもそもの要求水準が高いわけですよ。それなりにハイレベルなものを見せられても、「もっと! もっと!」と望まずにはいられないというか。

 マカオグランプリを描いている『capeta』は十分に盛り上がっているといえばそうなのですが、それでもなお、心のなかの「もっと!」は止まらない。作品のテンションが限界ギリギリ、マキシマムにまで至ってはいないと思うのです。

 曽田さんといえば『シャカリキ!』や『昴』の印象が強いわけで、これほどレベルの高い作品を見せられてもなお、「まだいけるはず!」と思わずにはいられません。ここらへんは一度は傑作を描いてしまった作家の苦しいところですね。

 といっても、自分でも無理なことを望んでいるということはわかっているのです。そんなにいつもいつもテンションマックスの漫画を描いてはいられないよな、と。

 特に長編作品の場合、あるとき最高のテンションを演出しても、物語はそこから先にさらに続いていくことになるわけで、そうそう超絶的なテンションを生み出すわけにはいきません。そうするとしたら、それこそ最終回が目前のときでしょう。あまり一時の勢いでテンションを上げすぎてしまうとそのあとの展開が苦しくなってくるわけです。

 常識的な漫画家なら、少しずつ少しずつテンションを上げつつ、それを維持するというやり方を取ると思います。といっても、あまりテンションが低過ぎると今度は人気が上がらず打ち切られてしまうのだから連載漫画はむずかしい。『capeta』はバランスが取れているという褒め方もできると思います。

 そうはいっても読むほうとしてはそのあと燃えつきてもいいから最高のテンションを!と望んでしまうんですけどね。まあ、燃えつきてもいいなんて思われるほうは大変です。

 で、まあ、連載漫画で途中からテンションが上がらなくなる理由はもうひとつあると思っていて、漫画を描く行為そのものがどこかでルーティンワークになるからんじゃないか、と考えています。

 

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