何年もまえから欲しいと思っていたアンソロジー『リテラリー・ゴシック・イン・ジャパン』をついに購入しました。
もし電子書籍版があったらもっと早く買っていたとは思うけれど、とにかく入手できたことは嬉しい。珠玉のアンソロジーというウワサなので、これから舐めるように耽読するつもり。
もう、目次を見ているだけでたまらないですね。わずかに既読の作品もある一方でいくつか知らない名前もあって、ここからさらに「暗黒系」の鉱脈を掘っていける予感がしています。収録作はこんな感じ。
「夜」 北原白秋「絵本の春」 泉鏡花「毒もみのすきな署長さん」 宮沢賢治「残虐への郷愁」 江戸川乱歩「かいやぐら物語」 横溝正史「失楽園殺人事件」 小栗虫太郎「月澹荘綺譚」 三島由紀夫「醜魔たち」 倉橋由美子「僧帽筋」 塚本邦雄「塚本邦雄三十三種」「第九の欠落を含む十の詩編」 高橋睦郎「僧侶」 吉岡実「薔薇の縛め」 中井英夫「幼児殺戮者」 澁澤龍彦「就眠儀式 Einschlaf-Zauber」 須永朝彦「兎」 金井美恵子「葛原妙子三十三首」「高柳重信十一句」「大広間」 吉田知子「紫色の丘」 竹内健「花曝れ首」 赤江瀑「藤原月彦三十三句」「傳説」 山尾悠子「眉雨」 古井由吉「暗黒系 Goth」 乙一「セカイ、蛮族、ぼく。」 伊藤計劃「ジャングリン・パパの愛撫の手」 桜庭一樹「逃げよう」 京極夏彦「老婆J」 小川洋子「ステーシー異聞 再殺部隊隊長の回想」 大槻ケンヂ「老年」 倉坂鬼一郎「ミンク」 金原ひとみ「デーモン日和」 木下古栗「今日の心霊」 藤野香織「人魚の肉」 中里友香「壁」 川口晴美「グレー・グレー」 高原英理
津原泰水の作品がないことがちょっと気になるくらいで、まさに圧倒的な布陣。白秋や鏡花の古典から現代の乙一、桜庭一樹といったライトノベル出身作家までカバーした日本の「リテラリー・ゴシック(文学的ゴシック作品)」の一覧表といえるのではないかと。
いやあ、よくここまで集めましたね! 凄すぎ。
何しろまだ読んでいないので感想も何もないのだけれど、じつに七百ページ近いボリュームは簡単に読み通せるものでもなく、いまのところ、ただ匣のような本の形から「不穏の文学」の気配を感じ取るだけです。
表紙はあたりまえのように球体関節人形であるわけですが、いやあ、良いよね、人形。押井守の『イノセンス』もまあ、映画として客観的な出来不出来はともかく、好みの世界ではあった。
まあ、ぼくは球体関節人形といっても、元祖のハンス・ベルメールくらいしか知らないのですけれどね。何か良い解説書はないものかな。
ところで、
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