昨夜、ふと思い立って『鬼滅の刃』を一から読み返していたのだけれど、いやあ、これ、あらためて凄まじい作品ですね。

 絵もそれほど上手くないし、想像力もそこまで非凡ではないし、あきらかに作品全体に甚大な影響を及ぼしている荒木飛呂彦の『ジョジョ』あたりと比べると、決して天才の作品というわけではないのだけれど、匂い立つような暗い情念がこの漫画を傑作にしている。

 で、せっかく読み返して記憶も新鮮になったので、昨日の記事で触れた「強さへのフェティシズム」の話をもう一度考えてみたい。じつはこの記事に関しては、このような批判がある。

冒頭部分から違和感なんだけど、ヒーローの大多数は「強さは人を助けるため」がテンプレで、悟空や武蔵のような「戦うのがワクワクする」とか「剣そのものの求道」はむしろ例外的な像ですよね?

もともと「強さとは、闘いとは、他人を守ること。それが無ければ、自分から闘いを求めようとは