映画はどこまで親切であるべきか。『ゴティックメード』と『ヱヴァQ』を見て思う。(1856文字)
一昨日と一昨昨日の二日間で待ちに待った『ゴティックメード』と『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を続けざまに観た。どちらも非常におもしろい作品で、濃密としかいいようがない映像体験だったわけだが、同時にあたりまえの物語映画とはひと味もふた味も違う作品であった。
というのも、この両作品、「映画としてどうなのか?」と思われるほど「わかりにくい」のだ。『ゴティックメード』には『ファイブスター物語』を読んでいないと何が何だかわからない箇所があるし、『ヱヴァQ』は初見ではほとんど何が起こっているのか把握し切れないほど情報量が膨大。
また、サイボーグ戦士ひとりひとりの設定をほとんど説明しない『009 Re:Cyborg』あたりを見ても、どうもここらへんの「不親切さ」というものが日本アニメーションのひとつの特徴であるらしい。
それを即「もてなしの悪さ」とみなして、作品の欠点と取る向きもあるだろうけれど、『エヴァQ』などは今年公開されたすべての映画のなかで最高の初速を記録しているわけで、必ずしもそうといい切れるものではない。
思えば、この「情報のオーヴァーフロー」というものは『ガンダム』あたりから続くひとつのお約束のやり口ではあるわけで、「オタクはこういうものが好きなのだ」といってもいいものではある。処理し切れないほどの情報を与え、読者の脳に過負荷をかけ、ストレスを与えてそれを強烈な刺激に変換する、そういう方法論。
そういう意味では、これらの映画の「不親切さ」は。その実、ていねいにコントロールされた見せかけの不親切さであるといえなくもない。「わからない」からこそ自分の観察力のすべてを使って集中して映画を見ようとする。それが快感につながる。そういう信念があって初めて採用できるやり方ではあるんだろう。
『ヱヴァQ』など、「序」の段階では非常にわかりやすく簡潔なプロットを採用していたわけで、ここに来てあえて視聴者を突き放すかのようなスタイルを採用したのは、確信犯としかいいようがない。狙ってやっているのだ。
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