『ベルセルク』を読んで完璧主義者のパラドックスを思う。
Jコミに海野蛍さんのエロ漫画が登録されていますね。このひと、どうやらSFファンであるらしく、作品タイトルに『風の十二方位』(ル・グウィンの短篇集)だとか『思春期の終り』(いわずとしれたアーサー・C・クラーク『幼年期の終り』のパロディ)といったタイトルを持ってきています。内容は必ずしもSFしているわけではないんですが、一SFファンとして「ニヤリ」とできます。
それとはまったく関係がありませんが、先日、『ベルセルク』の最新刊が刊行されました。前巻から一年以上かかっているわけですが、まあとにかく新刊が読めることは嬉しいです。
今年は『十二国記』だの『星界の戦旗』だの長年新刊が出なかった本が出る年で、まあ『ベルセルク』はそこまで読者を待たせているわけではありませんが、新刊を読めるありがたさはあります。
今回、物語のなかでは海神編が終結し、新しい物語が始まっています。また、ガッツの過去の一挿話を描く番外編も収録されていて、なかなかお得感があります。Amazonを見てもおおむね評価は高い模様。
何より紙面を埋める描線の質と量は圧巻のひとこと。正直、一読者としては「そこは手を抜いてもかまわないからもう少しスムーズに物語を進めてくんろ」といいたくなるのですが、作者としてはそういうわけにはいかないのだということもわかります。
ここらへん、『BASTARD!!』とかと同じ問題があって、作者がクオリティを追求しだすと無限の時間と労力が必要になるのですね。作品作りとは、どんな完璧主義者であっても、どこかで妥協を意味するところがあります。そうでなければ永遠に完成品を生み出すことができないわけです。
その妥協のレベルがひとより低ければ人気を獲得できないことはもちろんですが、著しく高くてもそれはそれで「完成のために膨大な時間と労力を必要とする」という問題が発生します。
あるいはファンはそれだけの時間を待たせられてもクオリティが高い作品であるほうがいい、というかもしれません。しかし、それは作者の「こだわりポイント」が読者のそれとマッチしていればこその話。作者がこだわっているポイントが読者にとってどうでもいいところであった場合こそ悲劇です。
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