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なぜアートを「買う」の? 個人コレクターのコレクションからアートとの関係を問い直す『アートがあればII』展

2013/07/10 20:00 投稿

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東京オペラシティアートギャラリーで開催される『アートがあればII』展。9名の個人コレクターによる127作家、全206作品が展示されます。


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A.K. collection/細江英公《抱擁 #28》/1970/courtesy of TOKI-NO-WASUREMONO


美術館のコレクションは歴史的重要性や客観的なバランスを考え、広く一般に公開することが前提になりますが、個人のコレクションは、コレクターの考え方が強く反映されます。単にその作品が好きだから、キレイだから、というだけでなく「そのアーティストを応援したいから」「独自のテーマをもとに集めているから」など理由はさまざま。


この展覧会では、アート作品を観るだけでなく、コレクターがなぜその作品を選んで買ったのかという「審美眼」や「編集力」を観ることができるのが最大の魅力だと思います


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S.M. collection (One Piece Club)/八木良太《VINYL》/2006/(c) YAGI Lyota/courtesy of MUJIN-TO Production/photo: FUKUNAGA Kazuo


アート作品を創る/買うという行為も、最近は絵画や彫刻など形あるものだけでなく、考え方や行動を作品化し、それを購入するケースもあり、多様化しています


たとえば、関連イベントで紹介されていますが、八木良太さんの作品《VINYL》は氷のレコード盤。ノイズと混ざった音楽ははかなく、氷が溶けると音も消えていくという一期一会の作品。山川冬樹さんの『「パ」日誌朗読会』は、自らが発声する「パ」という音節を、一人のアートコレクターに100万円で売却することで始まったパフォーマンス。手元には残らないものを、「作品」として購入する。これはとても新しい感覚のような気がします。


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anonymous collection/西野達《The Merlion Hotel》/2011、2013/courtesy of ARATANIURANO


この展覧会の情報を見ながら思いだしたのが、以前ご紹介した映画ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物』。ニューヨークに住む公務員の夫婦、ハーブとドロシーが、「自分たちのお給料で買えること」「1LDKのアパートに収まるサイズであること」を条件に、コツコツと現代アートの作品を集め、半世紀をかけて5000点近くの膨大なコレクションを築いたという驚きの実話でしたが、彼らの活動がアーティストたちの無名の時代を支えていたことや、貴重な作品が紛失せずにすんだことなどを観て、個人コレクターの役割って大きいんだなと感じました。


アーティストとコレクターの関係って? 自分がアート作品を買うとしたら? なんてことを考えながら館内を回るのも楽しそうですね。


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『アートがあればⅡ ─ 9人のコレクターによる個人コレクションの場合』公式サイト

会期:7月13日(土)から9月23日(月・祝)まで
会場:東京オペラシティ アートギャラリー[3Fギャラリー1、2]
開館時間:11:00-19:00 (金・土曜日は20:00まで/最終入場は閉館の30分前まで)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、8月4日(日)〈全館休館日〉
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(文/ミヤモトヒロミ)

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