その「LONGCHAMP」を名に冠し、颯爽と駆ける騎手と馬のロゴマークを用いる「ロンシャン」のルーツは、もちろん馬具や皮革製品。しっかりした縫製による丈夫で使いやすいバッグや革小物のほか、65年の歴史を経て、現在はレディース・プレタポルテまでを展開しています。
2013年秋冬コレクションのテーマは「光と影」。20世紀近代建築に着想を得た「ロンシャン」のデザイナーチームは、1940~1970年代に建築界を風靡した3人のインテリアデザイナーにインスパイアされ、そのオマージュとして、このコレクションを完成させました。カラ―とテクスチャーのコントラストで「光と影」を表現しています。
すべてのアイテムを通じて特徴的なのは、フューシャピンク、カルマンレッド、オーベルジーヌなど、あたたかみのある色使い。そして、バラエティーに富んだ素材です。ソフトなシープスキンやスパイシーなアニマルプリント、美しいカーフヘア、パテントなど、多種多様なレザーやファブリックを採用しています。
バッグは、定番「ロゾ」シリーズの誕生から20周年を記念してつくられた「ロゾ・エリタージュ」、新作「クアドリ」など、どのラインでもピンクやブルー、レッド、グレージュなどの新色が豊富に登場。円を重ねたコットンベルベットのバッグは、70年代のインテリア界のスターであるデービッド・ヒックスにインスパイアされてデザインしたものです。
デザイン性だけでなく、ストラップやポケットなどの仕様にもこだわり、軽くて丈夫なバッグは、さすが「ロンシャン」。手頃な値段もうれしいところです。
ここ数年、力を入れているレディース・プレタポルテは、秋冬テーマに沿ったカラ―のワンピースや、バッグと同じ柄のブラウス、ムートンのジャケットなどが揃っています。「服は、バッグを引き立てるアクセサリー」というデザイナーの言葉通り、デザインはシンプルながらも、きちんと存在感がある、上質でしなやかな大人のリアルクローズです。
定番のバッグから、レディース・プレタポルテ、靴に至るまで、「ロンシャン」が一貫してこだわっているのが「使いやすさ、着やすさ、履きやすさ」。デザインはもちろん、熟練した技術を制作に要する馬具をルーツに持つブランドが誇るディテールへのこだわりを、実際に手に取って感じてみてください。
[ロンシャン]
(文/大森りえ)