それは、リゾート再生で知られる「星野リゾート」が、経営困難のため一度クローズした箱根湯本の高級旅館「桜庵」をリノベーションし、昨年末に新規オープンした「界 箱根」。
以前の旅館が「桜庵」と名づけられていた通り、ソメイヨシノやヤマザクラなどさまざまな種類の桜に囲まれた花園です。なんと、温泉に浸かりながら桜を愛でることができるのだから、今時期の最もリュクスな花見場所と言っても過言ではないでしょう。
桜の木に迎えられてエントランスを入り、自然に溶け込んだ気持ちのいいロビーラウンジでチェックイン。家具は人気のインテリアショップ「TIME&STYLE」が担当し、奥の棚には箱根の伝統工芸「箱根寄木細工」がディスプレイされ、日本の伝統美とモダンデザインが空間のなかでシンプルに融合しています。
私が訪れたとき、桜はまだ1分咲きでしたので、今からは桜鑑賞にちょうどいい季節。須雲川沿いに咲く桜は種類によって時季をずらして咲くので、長い間花見が楽しめます。ロビーラウンジのライブラリーのセレクションは、旅に行きたくなるような写真集や書籍、地域の文化的な資料など興味深い本が盛り沢山! チェックイン早々、ここで長居をしてしまいそうです。
そして、肝心のお部屋はこちら。10畳の和室に次の間があり、寝心地にこだわったロータイプのベッドがあります。和室は滞在中ゆったりと使え、夜桜鑑賞時はぜひお気に入りのお酒を飲みながらどうぞ。窓から見える見事な景色は、ぜひ現地で確認を!
半露天になっている温泉の真ん前、須雲川沿いに咲く桜は、湯船に浸かりながら12時のチェックアウトタイムまでゆっくりと楽しめます。泉質は保温力の高い塩化物泉。お湯に浸かって桜を眺めていたら体が芯から温まります。
星野リゾート「界」ブランドの特徴は、日本らしい四季を感じることのできる旅館であることと、地域ならではの文化を感じる「ご当地楽」。「界 箱根」は、ご当地のおいしい銘菓も楽しめるようになっています。写真の箱根の銘菓「湯もち」と寄木細工の椀に入った足柄茶は「界」スタッフが選んだもの。
そして夜になるとロビーラウンジは、この地の伝統工芸「箱根寄木細工」を活かした空間「寄木CHAYA」となります。この空間で楽しむ夜桜は、1泊2日の花見温泉旅行のクライマックス!
さて、気になる食事、スパなどは次回後編にてご紹介します。再生して初めての花見シーズンを迎える「界 箱根」。日本特有の花鳥風月を肌で感じてみたいなら、ぜひ訪れてみてくださいね!
(取材・文/朝比奈千鶴)
朝比奈千鶴 | ブログ「ホリスティックトラベル」をテーマに国内外を旅し、コラムやエッセイを新聞や雑誌、WEBなどに寄稿しているトラベルライター。CS旅チャンネル「ホリスティックな週末」(全12回)再放送中。コラム「環境カオリスタ.net」など。