国内外で注目すべき活動を展開する現代作家を取り上げて紹介する「アーティスト・ファイル」展。東京・六本木の国立新美術館では定例の展覧会ですが、今年は約2年ぶりの開催となり、海外の作家3名を含む8名の作家が参加します。
この展覧会はテーマを特に設けていないので、写真もあればインスタレーションもあり、巨大な建築物もあり、とジャンルもさまざま。8つの個展を見ている感覚です。
たとえば、イギリスのダレン・アーモンドさんの記憶や旅をテーマにした作品を作っていますが、展示されている写真シリーズ《Fullmoons》は、音が吸い込まれそうな静けさ。
韓国のヂョン・ヨンドゥさんの作品は、子どものころに描いた絵を実写化したもの。子どもの自由な発想で描かれた絵って、なかなか実現させるのは難しいと思うのですが、CGを使わずに表現。視点がユニークですよね。
國安孝昌さんは、陶片と丸太で巨大な建築物を作るアーティストですが、今回も会場の空間いっぱいに、巨大な建築物を組み上げています。シンプルな素材ですが、その大きさにはただただ圧倒されます。
國安さんはこの展覧会のインタビューで
「命を賭けてやるだけの価値がある美術が、絶対にあるはずだと信じている」「制作の動機は、うすっぺらい時代に対する反抗心」
「作品は、自分自身の内的な宇宙観を曼荼羅のようにしたもの」
と、こちらの背筋が思わずシャキッと伸びるような力強い発言をされていました。観ているだけでこちらもエネルギーをもらえそうです。
【アーティスト・ファイル2013展PR映像】
アーティスト・ファイル2013 ─現代の作家たち［公式サイト］参加アーティスト：ダレン・アーモンド、ナリニ・マラニ、ヂョン・ヨンドゥ、東亭 順、利部志穂、國安孝昌、中澤英明、志賀理江子
4月1日（月）まで
会場：国立新美術館 企画展示室2E
開館時間：18：00 金曜日は20：00まで
休館日：火曜日
(文／ミヤモトヒロミ）
ミヤモトヒロミ ｜ ブログ
ライター・エディター。女性誌、女性向けWebメディアで映画やアート、カルチャー関連の記事を執筆。カフェグローブでは2007年よりブログ連載「ムービーハンター」で大人の女性のココロにささる映画評を手がける。
