菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>11

 マニアは、一瞬映る警察手帳(そこには姓名が書いてるんで)をさまざまな機材でクローズアップしたりしていますが笑、わかりません。

 今の日本のアニメやドイラマじゃなくて、70年台のアメリカのテレビシリーズなんですよね。コロンボは愛妻家です。なので奥さんは変わっていないと思います笑。というかユニヴァーサルが「ミセスコロンボの事件簿」とかいう、コロンボ夫人主演のシリーズを始めましたが、ものすげえ悪評で笑、打ち切りになりました笑。

 コロンボが図式的にモテるのは「恋に落ちたコロンボ」だけで(相手はフェイダナウエイ)、でも結局捕まえるんで笑、コロンボが心を許したことはないですね笑。許したら犯人のピンクトラップに騙されちゃうんで笑。

 「あれで」とおっしゃいますが、コロンボはクソモテます笑。

 シリーズ全話の女性の主要登場人物の中で、コロンボを最初から嫌い、最後まで嫌いだった(あるいは最初から関心がなく、最後までなかった)者の方がはるかに少ないです。

 「油断して好意を持っていたら、捕まえられちゃった」という事しか起こりません笑(特に70年台の初期シリーズは女性犯人自体が少ないですけど。まだフェミニズムの理科らが弱かったんで)。

 コロンボは「見栄えも悪いしコミュ障の変人だけれども、頭さえ良ければモテるし、強大な敵を逮捕できる」という夢を、当時のミステリマニア(=オタク=被差別者)、移民(被差別者)、少数民族(被差別者)、等々の被差別者に与えたと思います。

 アメリカ以外で最も視聴率が良かった国はドイツですが、2位がルーマニアです。チャウセスク政権(えげつない独裁政権)の圧政に喘ぐ国民全員が、<警察関係者>であるコロンボに、大勢打倒の夢を見たのです。ここがすごかったと思います。コロンボは明かにリベラル民主党寄りで、共和党寄りの善玉を、バランスとして、たまに用意します。

 ルーマニアのテレビ局は、反体制的ヒーローが活躍する番組は当然流しません、よく精査せずに「人気の刑事物ならよかろう(刑事は体制側だから)」という判断でコロンボをオンエアした結果、「半年撮影し、オンエアしては半年休む」というアメリカエンタメ番組のルーチンを知らない東欧の国民は、「コロンボが終わった」「政府に打ち切られた」と判断し、暴動を起こしかけました笑。ルーマニア政府はピーターフォークに直訴して、「自国民に、<コロンボは国が打ち切っていないし、まだ続く>とアナウンスしてくれ。コロンボとして」と打電しまして、ピータ^フォークはその通りにしました笑。

No.12 12ヶ月前

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