菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>24

 まあ広義に広義に捉えれば宗教テロと言えなくもないでしょうし、今後話はそっちにミスリードされかねないですけど、宗教テロというのは、厳密には教団が世界に対して行うことですから、この物件は、僕は宗教テロとも思いません。上記コメントに書いた通りです(創価学会の例え)。

 この事件が現代的だというのは、総理ではなく元総理が、ネットで死ね死ね言われてるうちに民の殺意が平均線をあげ、具体的な政治思想犯や、事実関係のある怨恨ではなく、妄想によって、ネットで入手できる素材と製法で成立した銃で射殺されたことです。このケースの前例はないです。一番近いのはジョンレノン殺しでしょうけれども。

 何度でも書きますが、「タクシードライバー」をご覧いただきたいです。あれこそ当時の「現代性」ですし、オウム真理教やM君事件や秋葉原のスプリーキラー、ああいうものも全て当時の現代性です。

 現代性に殺されるのは、非常にかわいそうなことです。「痛ましい」「非業だ」と言わずに「かわいそう」としたのは、「かわいそう」や「気の毒」が一番ピッタリくるからです。前近代的な、あるいは歴史的な、と言っても良いですが、そういう意味の中で殺害されるのと、現代性に殺害されるのではリージョンが違います。現代とはなにか?という問題への考察のネタになってしまうからです。安倍さんが、首相任期中に、極左、もしくは極右の組織構成員に、闇で流れている実在の拳銃で射殺されたとしましょう。それと比べるとよくわかると思います。こっちの殺され方は端的に古くて歴史的ですね。現代性に殺されたわけではないです。

No.26 28ヶ月前

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