菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>17

 単に能力だけで言えば、100倍化も不可能ではないのですが、そうなると著述の出版になりますね。これはリスクが高いんですよ。ちゃんと読んでくれる人がどんどん減って行き、テリトリーでの縄張り争いみたいなめんどくさい事ばかり起きます。僕が映画批評やってなかったら、町山さんからの襲撃もなかったでしょうし笑、演奏だけして、分析や批評をしないでいれば、面倒なこともなかったと思います笑。でもまあ、やっちゃうんですね笑。若かったなあ。と思いますよ笑。

 「夫婦善哉」は、あれでも発表当時は、「ほのぼのとした話」だったんですよね笑。山茶花究、司葉子、三好栄子は、演技力にムラがありすぎ、どれが代表作、という一定の評価が下せない役者ばかりですが(主役級か大部屋寄りか、というのもありますが)、マイベストは、山茶花究が「へそくり社長」、「とんかつ一代」(同じ監督で「とんかつ大将」があってややこしいですが、「一代」の方)、司葉子が「サラリーマン清水湊」「喜劇 駅前旅館」ですね。

 淡島千景はヅカ出身という出自や、夫婦善哉以降、森繁のマドンナ役を30年近く勤めるという仕事ぶりもありますが、顔相がムーミンみたいなんで、おっとり基盤で貫いてますね。淡島千景が怖いのは、夫婦善哉以前の、岸恵子と佐田啓二が主演の「君の名は」の映画版(3作あります)だけかな、と思います。マイベストは、ほぼほぼ唯一、和装の女将さんではなく、オールドミスの陶芸家を、今で言うところのGAPやユニクロみたいなカジュアルファッションで演じた「貸し間あり」ですね。

No.19 30ヶ月前

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