菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>11

 有難うございます!ホン・サンスはK-MOVIEの範疇に入らないので(いっその事フランス資本とかにしてくれれば話は違うんですが)話をするのが非常に難しい作家ですが、僕より4つか5つ上で、このご時世でインタビューもほとんどなく、関係者の話も全くないので(箝口令が敷かれている説があります)、「全ての人がカメラの被写体であるという意識を持つことで、日常を構成しているコードのようなものが解かれていく感覚をもたらすのかもしれないと思いました」というのはその通りですよね。ただ、ホン・サンスは今の所、大韓民国の中でも富裕層に近い、しかもアーティスト関連しか描かないので、ブレッソンみたいにならないんですよね。

<ホン・サンス初期作品に関する菊地さんのインタビューは、初期作品特集をやっている劇場で買えるパンフレットで読めるのでしょうか?>

 ↑ そうです。「12色のホン・サンス」というレトロの劇場パンフに寄稿しています。

 <ゴダールの、自分のなんでもない1日を撮れば映画になる、というのは、実際にそれで面白い映画を撮るとなると、ホン・サンスや菊地さんのように、セルフイメージが世間でどのように映っているかを自分でどのように認識し、そこからどのようにドラマ性を抽出するか、というようなセンスがモロに出るかと思うので、とても難しそうだなと思いました>

 ↑ 逆に難しいですよね。電気が存在してしまうような人の方が。本来はゴダールが言うように、「誰でもがライフサイズの映画を撮る」という文脈が、前段の「誰もが被写体である」と云う、一種の社会主義化への推進になると思いますし、映画と区切らなければ、ほぼそうなっています。「全員が主人公」と云うマジックリアリズムは、筒井先生の「虚構船団」ですよね。

 熊本復興映画祭で高い評価を得た、茨城在住の「佐藤兄弟」という、兄が監督でお等々が音楽を担当している兄弟が、これから台頭してくると思いますが、この兄弟は日本のホン・サンスとも言えるし、前述、「名もない人の1日映画」です。弟がピアノの先生をしていて、そこの生徒の小学生の女の子を撮ってるだけで、ものすごく新しい、と、評論家の相田さんが言ってました。従来、少女をカメラアイが追いかけると必ず生じてしまうあれやこれやが、全くない、そうです。僕は未見ですがいつか観ようと思って楽しみにしています。

<今回の菊地さんの1日も、マイルスの1日も、凄く面白いと思いました。ペン大の講義のシーンは『ハッピーアワー』の朗読会の凄く普通の感想を言う人のシーンを思い出します>

 ↑ そこに気づいて下さる方がいて、正直とても嬉しいです笑。僕は「ハッピーアワー」について、かなり長いものを書きましたが、あのラジオのペン大のシーンと繋げてくれる人を全く期待していなかったので笑。「習い事」のシーンは、一度回しっぱなしにして、選んで編集すれば、全部映画に組み込めると思います。

<おたけは泣けば今後も残る、はかなりウケました!>

 ↑ あれはマイク前で突然思いついたんですが笑、僕もかなりウケました笑。ジャンポケはジモンもいるし笑、肥後(ここでは斎藤になり、コンフリクトが出ますが笑)もいるので笑、「追い詰められてキレて泣く」と云う上島マナーはすぐに行けると思います笑。

 

No.13 43ヶ月前

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