菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>16

 いらっしゃっていたのですね。驚きました。嬉しいです。MCには含めませんでしたが、ご指摘の通り、海外公演を果たせなかった事は悔やまれます。我々はパリに二度振られており、一度目は「構造と力」のレコーディングでした。パリのスタジオとホテルまで抑えていたのですが、僕がパニック障害で二度目の臨死となり、精神分析治療が始まったのでキャンセルしました。二度目は国際交流基金の誘いで、DC/PRGとぺぺがどちらもパリで公演する予定が2009年にあったのですが、今度はパリ市の状況によって流れてしまいました。我々を世界ツアーでマネージできるエージェントかパトロネージが現れたら、日本では凱旋公演しないという条件で(あぶく銭が手に入るので)、海外ツアー用にリユニオンの準備はするつもりですが、まあしばらくは無理でしょう。ぺぺは常時狙っています。ぺぺが海外で演奏する機会に恵まれたら、DC/PRGの曲をやろうと思っています。奥様、そして彼の国へ戻った際にはグアダルパーノの皆さんにも、東京にどんなバンドがあったか、よろしくお伝えください。

 バチカンの法王もブラウンスキンになって久しいですが、軍や警察権力が市民の暴力を振るう国々があることを、僕は常に音楽の中にメッセージとして含ませています。東京がどうなるかをこれからも見つめてゆきます。先日、友人がカーシェアで車に乗せてもらったら、安い駐車場で擦りまして、事情はよくわからなかったんですが、近隣の交番でパトロール中の巡査を待つことになり、僕が面白がって交番の中に入って引き出しを開けたりしていたら、友人が真っ青になって止めました。それから巡査が1人で来て、1時間ぐらい友人に調査(?)をしていたんですが、ホルスターに入っているとはいえピストル、手錠、警棒があまりに無防備で、合衆国だったらこんなの絶対あり得ないよな。平和な国だ。まだ。とつくずく思いました。ただ、見立てと想像力に富んだこの国では、オルタナの暴力やファシズムがはびこっています。今はどんな響きとリズムが人々の、無意識から愛を絞り尽くせるかを、散歩しながら思索に耽っています。


No.27 43ヶ月前

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