菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>16

 クレクレタコラは、クレージーキャッツ映画の、どっちかつうとファンタジー系を得意とする(一方で「黄金作戦」なんかの大活劇もやるけど)坪島監督のテレビワークス代表作ですよね。チャー研とか、ああいったカルト系は僕そんなに得意じゃないんですが、こちらの会員さんの個人情報は、少なくとも僕は知らないので、「隠し昭和」が結構いそうですよね笑、ただ、あの時代に歌舞伎等のディスコ通っていた人は少ないか、レミーさん以外いないと思いますが笑。

 チックは僕がいまさらいうまでもなく、偉大すぎる音楽家ですが、少なくともロストクインテットを標準とするなら(どんな標準だ笑)、キースもぎりぎりですが存命ですし、なにせウエインの200まで行きそうな生命力には驚かされ、何かウエイン(とハンコック)の信心深さに依拠するであろう長命と元気が、まだマイルスが生きている感じ、というか、マイルススクールがまだ残っているように感じさせ続けているのは、物凄いサスティナブルでヤバい話だと思います。チックはサイエントロジストなんで。宗教が新興から定着に移動するか否か、という質問を、ジャズ界は投げかけているような気がしますね。

 チックで何が好き?という凡庸な質問に、「実はサークル」という凡庸な回答をしてしまいがちなんですが、チックが最も「持っていた」のは、DX-7に代表されるような、キーボード機材のデジタル化と、自分の音楽性が先行して一致していた点です。あれだけのキャリア、そしてヴァリエーションがあると、「あなたにとってのチックは?」というノスタルジックな質問が一斉にファンの脳内で発生すると思いますが、僕は「スリーカルテット」にトドメをさします。大西さんの「ティータイムス」は「スリーカルテット」へのオマージュの側面があります。アルバム名は、名盤「妖精」のジャケットが「あたかもチックが、お茶の時間でも楽しんでいるような表情とポーズだから」という理由です。大往生ですよね。遺伝子は受け継ぎます。

No.27 46ヶ月前

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