菊地成孔(著者) のコメント

userPhoto 菊地成孔
(著者)

>>14

 厳密にいうと、言葉と文法は、「曖昧になってゆく」のではなく、揺るぎない厳格さと、可変性を、最初から常に両方持っているわけです。なので、ご説にあるように、厳格さ(=父性 / エディプス)が、暫時的にだんだん緩んでゆく。というのは、言語が発生した時からスタートしているので「これから楽になる」という事はありません。とまれ「諦めやすい」というタームは重要で、諦め、特に、後退的な諦めではなく、前進的な諦めの契機は、常にありましたし、今もあります。諦めるべきです。できれば前進的に。

 また、ご説の通り、SNSでは、ものすごいスピードでスラングが発生→共有され続けています。そしてこれも、SNS前からありました。

 問題は速度と量であって、例えば昭和のスラング、「イカす」とか「マジすか」というのは、SNSよりはゆっくり発生し、ゆっくり共有されていたので、定着度が強く、そのまま厳格性の方に再投入される側面があります。SNSは、僕のようなおっさんから見ると、光速で動いているので、もし、あらゆる不適応性の原因を仮定するならば、スラングが発生しているから、という説明よりも、スラングの発生と定着が、あまりにも高速化したからだと思われ、これも、言語の発生と同時にスタートしておるので、つまり、SNSがなくても、インターネットがなくても、言語がある限り、あらゆる不適応者は生じるわけで、
やはり人口の量、経済の流れ、民の思考の速度、発話の速度、等々、社会を形成しているすべてのファクターの高速化が原因であって、これは社会的に止める事はできません。なので、個人的に止めるしかない。このブレーキングも、おそらく言語の発生時からあったと思います(最近の例だとヒッピーとかエコロジーとか)。

No.16 43ヶ月前

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