菊地成孔(著者) のコメント

菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>25

 いやあ、さっきスターダムの若い女子選手がSNS自殺してしまったと言うニュースを見て、軽く拳を握りしめています。僕そんなに女子プロファンじゃ無いけど、ロッシー小川がやってる団体ったらメジャーじゃ無いですか。僕が掃除しろ言われるぐらいは本当に笑い話ですが(実際、ゲラゲラ笑って読んでたし)、とにかく今はファシズムと戦わないといけない。ファシズムはこれから安倍さんが作り出してるんじゃなくて、もうすっかり鍋は仕込まれてるんですよ。

 ロリコンの方々を批判するつもりは全くありません、ありませんが、ロリータコンプレックスには、「小さなもの(実寸)を壊してしまいたい」という破壊衝動が、数パーセントでも入っていると思います。

 僕みたいに面の皮が厚いバカおじさんじゃ無い、メンタルの弱いグラスハートの人は、ですから「心が小さい」と言い換えることができます。そういう人はハートを大きくしたいと常に悩み、トライ&エラーを繰り返しています。その人と、「小さなもの」を集団で壊せると予感し、壊すまでやってしまう集団(これは前述のアナロジーで結べば、攻撃衝動のあり方がロリコンと一緒だと言えます)との戦いは完全にアルターウォーで、これは1対複数の戦いです。我々はファシズムと戦わないといけない。そして、敵が何千万人であろうと、1人で自由に生きる権利を持っています。

 テラスハウスは結構ギリなリアリティショーで、まあ、リアリティショーという媒体自体にも責任はあります。大韓民国のアイドルにSNS自殺者が多いのはみなさんご存知だと思いますが、同じく大韓民国がリアリティショー文化の国(その点では
アメリカと似ていますやっぱり)であることをご存知の方は少ないのでは?

 プロレスも広義の、しかも原初的なリアリティショーです。プロレスラーがリアリティショーに出るのは、リアリティショーの二乗で、観るものを欲情させ、攻撃衝動を引き出す危険性が二次曲線的に跳ね上がりますから、周囲が辞めさせるべきだった、というのは遅すぎで、ひょっとすると、彼女は自分のハートを大きく強くするために、リアリティショーをもう一つ始めたのかもしれないし、残酷に言えば、それは自殺衝動と癒着したかも知れない。悪いグルーヴですよね。

 アイソレーション(分割)は、基本的にはダンスの用語です。身体をアイソレートできないと、ダンスは踊れません。感情も同じで、心がアイソレートできないと、踊るものも踊れません。「殺意」というのは、莫大な素材がアイソレートされずにクラスタリングして巨大化したもので、アイソレートすれば分解して、つまり、ほどくことができます。喧嘩が長時間化する人の多くは、「怒り」がアイソレートされていないからで、心を分解し、その中枢の一粒を見つめるべきです。仰る通り、タバコと清潔さがコロナと結びつくなんて、もう始まってますよね。残念ながらSNSは法的な規制も行われないし、ファシズムは国民優先で始まっています。「SNSってファシズム用だっけ?その逆だっけ?どっちでもいいか」と僕が「時事ネタ嫌い」に書いてからもう13年ぐらい経ったんですよね。

 

 

No.28 56ヶ月前

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