ビュロ菊だより

<菊地成孔の日記 / 令和元年6月9日午前零時記す>

2019/06/09 10:00 投稿

コメント:12

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     「ここんとこの良いもの(売れないだろうな)」

 

 

 まあもう、<良いものが売れなくたって普通>という時代が、なんかいつの間にか終わって、いつの間にか再開した感じですが、今日、金原ひとみさんの最新作「アタラクシア」が送られてきて、これもう普通に素晴らしいです。

 

 なんでだろうなあ?僕、国文学はもうまったく読めなくて、ディスじゃないですけど、友人に勧められて買った西加奈子さんとか、文字が入ってこないんですよね頭に。僕の文学読みの能力がダメダメなんでしょう。
 

 とにかく僕、ここ50年の日本の小説は、コンスタントに読めるのは筒井先生、小林信彦先生、京極夏彦先生、高橋源一郎先生、水村美苗先生、矢作俊彦先生、で手いっぱいで、(蓮見先生の「伯爵夫人」、小説家再デビューの北野武先生は特例として)、自分より年若い先生方のは、中原昌也さんと金原ひとみさんしか読めないんですよね。このお二人のは、喉が渇いてる時の水みたいにゴクゴク入ってきて、あっという間に飲み干してしまいます。どれもすげー面白い(壇先生のは、ゴクゴク入ってこなけど、異物感や、すげえ知己があるとか、やっぱり例外的な小説家ですが)、日本語の文学には素晴らしい可能性が満ち満ちている、と思わせられます。

 

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コメント

真の意味での、セカンドビルボード待望、なるほど。日本も良いものは売れているけれど、良いのに知られていない曲が聴かれるためには、そうですね。蛸壺の蛸を引っ張りだすの本当に大変。また仰っているような英米日本以外をパラメータに含めたチャートが当たり前にあって、外国語の音楽を音像として楽しんだり、なんだか分からないけど良いと思ったり、というか英語以外の外国語が聴こえてくること普通だったりするの理想です。

ビリーアイリッシュのODJはユニットで拝聴しました。「この曲は知らない」オーラ、ありましたね。自分以外のパンはどんな方だろうというのは興味があり(なにせスパンクスですし)、どうやら音楽ガチ勢は思ったよりも少ないと知りました。それで、ユニットでODのかわいい写真が撮れたため、試しにインスタグラムに投稿したところ、いいね、してくださる方々がおり、彼らのアカウントを訪ねますと、半数がアートガチ勢でした。どびっくりしました。え、こういう感じなの、と。
母数が少ないので全体像は分かりませんし、ファンが今より増えると傾向が出なくなると思いますが、なんかパンもパンだよ、と楽しくなりました。

スパンクスの予算が凄そうなビートメーカーさんや生ストリングスなどなどに突っ込まれたら涙が出るくらい嬉しいです。
音楽の手法もコンセプトも違う複数のバンド同時に動いていることも、それを同じ2人がやっていることも、思えば大分特殊ですね。全てファイナルスパンクハッピーとはいかなくても、時々液状化して区別がつかなくなったら面白いです。この前のピットインの花と水でされた「エイリアン」は格別でした。普通に音楽として良かったですし、現在ではなく未来のスパンクハッピーの姿をタイムマシンに乗って、見に行ったような錯覚がありました。
ジャズドミュニスターズ勿論、応援しています。ODもかわいいですけど、谷王だってかわいいです。アルバムも楽しみにしています。JDSは、素人でも分かるくらい音が透き通っていて(どう表現すれば良いか分からない)、カッチョいいです。
長文失礼しました。

No.10 65ヶ月前
菊地成孔 菊地成孔
(著者)

>>10

 セカンドビルボードは、単純にサチモスとセロの「総合力(が、ビルボード概念の中心なので)」を一目でわかるように比べたり、ファイナルスパンクハッピーとグリムスパンキー(名前だけですけど・笑)の総合力を比べるということができるでしょうし、K-POPいうまでもなく、世界中のローカルオーヴァーグラウンダーと、ワールドワイドのオーヴァーグラウンダーの違いも明確にするでしょう(第一ビルボードもそうで、ミシュランと同じく、世界各国に手を伸ばしました。それが、ザ・ビートルズのデビューによって、世界中のボーカルスターが消えて、世界中のビルボードのHOT100がみんなザ・ビートルズに染められてゆくんですよね。あれは革命運動だと思いました。

 最終スパンクスの現状でのマーケリサーチは何とODがやって、報告書が来ます。ご指摘の通り、音楽好きよりアート、ファッション、フーダー、漫画家さんが多いです。これまたご指摘の通り、母集団が増えれば、平均化すると思いますが、「プロダクツが無いのにツアーをするとどうなるか?」という実験でもあり、それはエビデンシャルではないですが、ステージからの目視で、「どれだけ踊れる人が来るか?」の観測でもありまして、それでDJセットもくっついていた訳ですが、ボス君の報告では「踊れてない人はほとんどいない。数にしたら20%弱」と言ってました。ここが資料として面白いですね。音楽好きだから踊る。そうではない人は踊らない。というわけではない。という。

 谷王は、私感ではODよりも幾分か可愛いです(笑)。音が済んでるのは、天下のスターリングサウンドのマスタリングによるものですね(笑)。僕の作品でスターリング、特に、故トムコインにマスタリングしてもらったのは「CURE JAZZ」と「ドミュ二ストの誕生」で、どちらも異様に音が澄んでますね(笑)。

No.11 65ヶ月前

ビルボードのシステム理解しました。ありがとうございます。
スパンクハッピーの実験、面白いです。人間は赤ちゃんでも、知らない音楽を聴いた場合に80%が踊るのかは分かりませんが、知識とか経験よりも身体が動いてしまうのは、ダンスって根源的なのだなと思い知らされます。恐らく他にも密かにされている遊びがあるでしょうから、やはりスパンクスは面白いです。アートに関してですが、実はツイッタで出来た音楽ガチ勢のパン仲間たちがいまして、好きな絵の話をしたり、タイムラインにお薦め企画展情報が来たりします。それで大雑把にアートが、ではなく誰のどんな作品が好きかまでが、なんか一致しています。明らかに抽象画よりで、例えばカンディンスキーとかが好き。人の好みが何によって決まるか謎ですが(性格、生来の性質、トラウマの質、若干の知識などの複合?)、ある音楽を選び取った人間同士が、別コンテンツの絵の好みまでも似ているのが最近は面白いです。
お忙しいのになんか返信をいただきありがとうございました。

No.12 65ヶ月前
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