菊地くんの才能でもあり、一種の病理とも言えるだろう。彼はほんのひと手間で、素材の潜在的な強度を引き出す。速度は、かからなければかからない方が良い。彼は歩きながら流れるように全てを決めてしまう。実家が日本料理屋だから、といえば、彼に倣ってフロイトになるのだろうが、とにかく彼はプレイングディレクターで、一緒に動きながらどんどんスタイリングしてしまう。場合によっては、買い物もする。買ったか買わなかったわからないぐらいの速度で。大谷能生氏に「大谷くん、ラッパーになった方が良いよ」と言って、そのままラッパーにしてしまった際、今でも谷王がきているスーツは、菊地くんが広告塔をしていたブランドのものだし、小物、大物、類例は枚挙に暇がない。
<BOSS THE NK(最終スパンクハッピー)の回想録(12)>
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