来る5月24日、先行的にデビューした最終スパンクハッピーと共に、もう一つ新たなバンドを立ち上げます。
オリジナルDCPRGと二期スパンクハッピーがそうであったように、双子座AB型母親二人、という性の産物か、私が何かを新規で(特に、意欲的に)新規立ち上げる場合、必ずシンメトリックかつ本質には大差ない二つの集団に分離します。めんどくさそうですが、その方が自然なのです。最終スパンクハッピーの相方の名はOD、song-XXの相方の名はQNと言います。両方ともトランスセクシャルな天才です。
「song X」は、特にジャズサイドのヘッズには有名だと思いますが、あのパット・メセニーが、あのオーネット・コールマンとコラボレーションすることで創出された奇跡の異形で、そのクレイジーさとガーヴェッジ感覚が、極端に統御された音楽美に律された、今聴いても戦慄するような天才的音楽からその名をストールンしています。ヒップホップサイドのヘッズも、未聴のジャズマニアも、聴いていて損はないです。動画サイトで全部聴けますので、ぜひ、ご経験ください。
「song-XX(ソング ダブルエックス)」は、私がこれまで追求し、研究してきた、ジャズバンドとラッパーのコラボレーションで、これまでのジャジーヒップホップとか、異業種セッションのようなイージーな物ではありません。バンドがラッパーをfeatするのではなく、ラッパーもバンドのメンバーとして、彼らのフロウをバンドのアレンジに反映させたり、バンドのリフやリズム構造をラッパーにビートとして深く咀嚼してもらう等々ジャズとラップの構造上の共有を有機的に構築することを目指しています。
結成のきっかけは昨年の秋、渋谷のさくらホールでペペトルメントアスカラールの公演があった際、突如として天啓を得た私が、QNに電話をかけたことです。彼に上記のコンセプトを説明すると彼は「超やりたいっす。菊地さんのジャズのバンドと出来るの夢だったし」と言い、今様に言うとブチ上がった訳ですが、私は少し抵抗がありながらも「ラッパーは二人要るんだ。マイク回ししたいから。もう一人って加藤くん(OMSB)で良い?一谷くん?(QN)」と言ったら、「全然俺たち最近、超仲良いですよ(笑)」とのことだったので(彼らの電撃的かつ、かなりのんびりしたMIDLLE-SHITがツベに上がった直後でした)、私は電話を切ってすぐにOMSBに電話しました。
すると、「そんなもん、俺が今一番やりたい音楽っすよ!でも来年末にソロアルバム作るんで、できたら来年から合流にして欲しいです」とのことでした。
こうして、バンド側は、DC/PRGからドラムスの秋元修、ソプラノ&テナーサックスの高井汐人、ピアノ&キーボードに小田朋美、2CD-J&アルトサックスに菊地成孔、そしてペペトルメントアスカラールからウッドベースの鳥越啓介を要し、QNとOMSBがメンバーとして合流する活動体としてフィクスされました。
音楽性は、M-ベースのリモデルと、即興性と計画性の混合で、スティーブ・コールマンとスティーブ・リーマンの曲をカヴァーする他、私や小田朋美のオリジナル等を混ぜたコンテンツでスタートします。
ところが、このままだと、OMSBの合流を待たなくてはいけません。そこで、OMSB合流までの代打として、JUAがサポートしてくれることになりました。若きJUA、実力はヒッピホップのヘッズならばよくご存知だと思います。
ところが、「QN×JUA」でキックオフする予定だったデビューライブですが、天才QNの気まぐれによって、QNの出演が二回目に延期になってしまいました。「イメージは沸きまくってるのだが、忙しくてまだ具体的なリリックが書けてなく、デビュー当日までにオリジナルのリリックが揃いそうにない、是非やりたいんだが、2回目のライブからにして欲しい」という申し出があったので、このぐらいのことは余裕の想定内だった私は、QNの代役としてDyyPRIDEに交渉し、快諾を得ました。
という流れで、記念すべきデビューライブは、オムスの周到さと脇の固さ、QNの天才的なマイペースぶりによって、ラッパーのメンバーを二人とも欠く、という異形のスタートとなりました。とまれ、JUAとDyyPRIDEも、バンドのメンバーと同じ、凄まじい実力者です。
キックオフこそジャズ側のフィールド(渋谷JZBrat」)で行いますが、ヒップホップ側のエリアでも演奏してゆく所存ですので、関係者の皆さんも臆せずにお越しください。では当日お会いしましょう。こればかりは、口では説明できないので。