tako2008 のコメント

(・・・続きます・・・)

それで、やはりそういった「見識」や「哲学」の差が、目には見えない、
理屈にできないところで、大局に影響してくることがある。

その良い例が、ウクライナ問題だと思っています。

問題が深刻化した原因は、欧米側に「自制」ができなかったこと。

そして、「自制の必要性」を自覚するためには、相手への理解や配慮、
ウクライナの歴史、冷戦時代の失敗に学ぶ、などといった、一見すると
国益とは無関係に思える、「見識」や「哲学」が必要になります。

ご存知の通り、ウクライナ政変は、米国の覇権を維持しようとする
好戦派のネオコンと、近視眼な戦略家達によって引き起こされました。
彼らの頭の中にあるのは、短絡的な「利益と覇権の追求」のみ。

これに対して、90歳になるキッシンジャー博士は、
別の視点から異議を唱えている。

<プーチンは大国主義・拡張主義の権化だろうか? >
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2014/589.html

下記に要約します。

 ・ウクライナはロシア発祥の地であり、西側は、ロシアにとって
  特別な地であることを理解しないといけない 
  →(つまり、ウクライナを奪われると、ロシアは激怒する)

 ・ウクライナは国としての歴史が浅く、指導者には妥協することを
  知らない未熟者が多い
  →(つまり、過激な民族主義に走る未熟者がいる)

 ・プーチンとアメリカは、互いの価値観を理解することが難しい
  →(つまり、辛抱強く相手を理解する努力をするべき)

 ・双方の指導者は強硬さを競争するのではなく、結果がどうなるかを
  冷静に見極めるようにするべきだ
  →(つまり、一歩間違えると、第三次世界大戦、核戦争に発展する)

上記の通り、一見すると関係のない、「ロシア歴史」や「価値観の違い」
といった観点を含めた、多面的・複合的な要因に基づく判断をしている。
「利益と覇権」だけを追求すると失敗することを知っているわけです。

こういった合理性だけの戦略だけに拘らないのは、戦略家としての奥深さ
である、「見識」や「哲学」の差なんだろうと思います。

ただ、注意したいのは、キッシンジャーは、あくまで「戦略家」であり、
「社会学者」ではありません。

フレデイさんが前に指摘したように、キッシンジャーの「指導理念」
では、21世紀の多極型世界を運営していくことは困難だと思います。

また、氏の「最大の欠点」はユダヤ人であり、中東政策をイスラエルの
国益を優先させることで失敗に導いているところでしょうか。

No.18 126ヶ月前

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