忙しさも中ぐらいなりと思っているうちに、今年も折り返し地点です。
 先日の齋藤貴義さんによるインタビューはこんな動画にまとまりそうです。
  【予告】https://www.youtube.com/watch?v=4IclumEZkIQ
 ソール・バスっぽくまとまっています。
 では、いってみましょうか。

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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
4.不定期アニメ日記



最近のお仕事紹介

1.朝カル講座「アニメを読む」(東京)
 7月からのラインナップは以下のとおりです。
 7月:アニメーター・演出・数井浩子さんをお招きしての「作画のワークショップ」(絵は描かないので絵心なくても大丈夫です)
 8月:アニメの可能性(2)『獣兵衛忍風帖』&『A KITE』
 9月:クレヨンしんちゃん『オトナ帝国の逆襲』
 https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/8b0ac380-5d60-6d52-e3df-552b28b9bda4

2.東急セミナーBE自由が丘校「アニメを読む」
 7月から東急セミナーBE自由が丘校でも「アニメを読む」がはじまります。毎月第1日曜16:00~で行います。7月期のラインナップは次の通り。
 7月5日 『たまこラブストーリー』
 8月2日 『サマーウォーズ』
 9月6日 『ルパン三世』シリーズ&『~VS複製人間』
 https://www.tokyu-be.jp/seminar/2015070006EJ01001.html

3.SBS学苑パルシェ校
 SBS学苑パルシェ校の「アニメを読む」の次回は7月26日(日)です。お題は『メガゾーン23』。懐かしいだけではない作品です。興味ある方は是非。
 終わった後は有志でお昼の後、ホビーセンター『エヴァと日本刀展』最終日へ滑り込む予定です。  http://www.sbsgakuen.com/gak0130.asp?gakuno=2&kikanno=167831


Q&A

 「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。文面にハンドル(名前)も入れてください。
 あるいは、アニメの門チャンネルの有料会員は、アニメの門チャンネルページの掲示板サービスが使えますので、そこに質問をしていただいてもよいです。メルマガの下にあるコメント欄でも結構ですよー。
 よろしくお願いします。


連載「理想のアニメ原画集を求めて」

文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

第2回『From the Animation World 新世界より《原画集》』

 『From the Animation World 新世界より《原画集》』は原画集の中でも特殊な本で、TVアニメ『新世界より』本編最終回の中から選んだ原画が、1話分のみ掲載されている。
 通常、原画集というと、複数話をまたぐシリーズの中から選ばれた原画が掲載されることが多く、その分1話1話の濃度は薄まっていく。そんな中でこの本は1冊で1話を紹介しているため、本編カットの流れをじっくりと堪能できる作りになっている。
 編集は、本編スタッフの久保田誓さんが直々に手がけている。残念ながら、今現在数多く存在している原画集のうち、本編スタッフが編集や監修に関わっていないもので、満足のいく内容になっているものはほとんど無いと言って良いと思う。
 この本はそんな、アニメスタッフが直接編集に携わっている原画集の中でも、理想的な仕上がりになっている。

 まず「タイムシート」の掲載の仕方。
 タイムシートというのは、主に1秒を24分割した升目で区切った伝票の一種で、アニメの制作工程の中でも重要な位置を占めている。にも関わらず、このタイムシートが掲載されていない原画集が、実は多いのである。
 タイムシートは絵が描いてある原画と、必ずセットで存在しているもので、アニメの制作工程の中でタイムシートが存在しないカットは、1カットもない。原画とは、タイムシートとセットになった状態で初めて、そこに描かれている絵の役割を理解できるものなのだ。
 タイムシート上では、原画はAから始まるアルファベットでばらばらに区別されている。Aが一番下に来る位置のセル画であり、A~Zの順で上に上にと順番に重ねられていく、レイヤー状の構造で表記がしてある。そして時系列にしたがってA1、A2、A3~などの順に番号が振られている。
 タイムシートに書かれている原画の番号は、映像の時間の中での原画の位置を具体的に示すものであり、必要不可欠な役割を持っている。なので、タイムシート無しでは、そこに描かれている絵を1枚の絵以上の、動きの一部として理解することはできない。
 原画集にタイムシートが掲載される場合、原画を担当した人の書いた部分が抜粋されることが多いのだが、原画を表す数字の間には、動画の入る枚数が「点」で指示されている。これが印刷物だと見づらい場合があるのだ。
 この本では、それを白黒反転して掲載することで、小さいサイズでも、点の位置が見やすくなる工夫が施されている。「どの原画の間に何枚動画が入るのか?」というのは、原画に描いてあるはずの動きを理解する上で、非常に重要なものだ。それは、原画上に描かれているはずの動きの流れを伝えるためのものであり、動画もまた映像の中で原画と同じように時間と動きを表現するための役割を担っている。
 タイムシートとは、原画に描かれている絵の中にあるはずの時間を物理的に伝えるための手段であり、原画を見る上で欠くことはできない。重ねて言うが、タイムシートは、原画と映像の中でとても大切なものなのだ。アニメでは、原画の絵と同じように重要視されるべきものなのである。そこに注力している、この原画集の工夫は、その重要性を理解した上での工夫であり、原画上に描かれているものを間違いなく伝えたいという、編集した人の熱意が感じられる。

 また、この本はTVアニメの1話を1冊かけて紹介する原画集でもあり、1カット1カットを丁寧に説明してくれている原画集でもある。掲載されているカットには、1つ1つ監督や作画監督、原画担当の人たちのコメントが添えられている。どのカットを誰に頼んだのは何故か、どの点が良かったか、どこにこだわったかが本編スタッフによって直接語られており、読み物としても充実している一冊である。
 コメントでは、作画監督の久保田誓さんが修正作業を行う上でどこに注意したかが語られており、修正する前の素材と修正後の素材が比較して掲載されているものもある。どのような意図で、実際にどのように作業したかを確認できる。これは、アニメの原画集の一番大きな役割りだと言っても良い。
 アニメ原画集を、絵として1枚1枚楽しむのも良いけれど、完成映像のための素材の1つとして、どんな創作過程を経ているのか? 原画集はそうした、実際に完成した映像以前に、アニメがアニメになる前の、「アニメの種」を見ることができる媒体だと自分は思っている。そして、それを見ること自体が、楽しいことなのだということを、この本を見て感じてもらえたらと思う。

 ところで、この本のあとがきには、1つとても残念なことが書いてある。
『新世界より』最終回の原画素材は、こうして一冊の本になっている。では他の素材は、その後いったいどうなったのか? 一部は特典として配布され、ファンの人達の手に渡ったけれども、他の多くの原画は融解処理されてしまったそうである。
 原画集として、原画自体が人々の目に何かのかたちで触れる機会は、ごく稀だと言って良いと思う。また、後々原画集を作ろうとしても、原画自体が処分されてしまっていては作ることもできない。
 色々な問題があるとは思う、それでも原画集という形で原画自体に魅力を感じてもらえる機会が増えることで、そこにある「アニメの種」の価値がもっと広く伝わって欲しい。原画集を手に取る時、いつもそう感じています。

(『From the Animation World 新世界より《原画集》』/くぼちか屋/1,500円)


不定期アニメ日記

 このところアニメ的映画で見たのは『攻殻機動隊 新劇場版』『ラブライブ!The School Idol Movie』『コングレス 未来学会議』でしょうか。
 『新劇場版』はいろいろ厳しいご意見もあるようですが、ジムスナイパーカスタム(量産機でありながら特別な力があるように盛られた存在)としては十分お役目を果たしていたように思います。これはつまり、『攻殻機動隊』をだれでも監督できるようにする(つまりもっとポピュラーなものにしていく)企画なのではないかと感じました。