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藤津亮太のアニメの門チャンネル

アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門メールマガジン

アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第136号(2018/4/27号/月2回発行)

2018/04/30 03:31 投稿

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 4月は『DEVILMAN crybaby』『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』『恋は雨上がりのように』のBlu-rayBOXのブックレットを作っていました。(厳密にいうと『逆シャア』と『恋雨』は、あと1本ずつ原稿が残っているのですが)。
 それぞれ5月以降に順次リリースされていきますので、ご興味ある方はよろしくお願いいたします。

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『声優語 ~アニメに命を吹き込むプロフェッショナル~』(藤津亮太、一迅社)
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1.最近のお仕事紹介
2.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
3.お蔵出し原稿
4.連載一覧

最近のお仕事紹介

1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
 5月19日『コードギアス 反逆のルルーシュ』【受講申込】
 6月16日『DEVILMAN crybaby』(+旧作)【受講申込】

2.5月のSBS学苑(静岡)
 5月27日は『君の名は。』を取り上げます。大ヒット作の隠れた魅力にフォーカスします。【受講申込】


連載「理想のアニメ原画集を求めて」

文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

第64回『Fate/Grand Order drafting material -CM Animation Original Drawing Works-』

 『Fate/Grand Order drafting material -CM Animation Original Drawing Works-』は、スマートフォン用ゲーム『Fate/Grand Order』のTVCMの素材がまとめられた本です。 アニメーターの坂詰嵩仁さん、榎戸駿さんのサークル「まゆとかげ」からコミックマーケット92にて頒布され、後日ANIPLEX+にて予約限定で販売されました。
 全ページフルカラーの印刷で、しかも300ページと分厚く、今までに見た原画集の中でもかなり豪華な印象です。パラパラと眺めるだけでも楽しい綺麗な本ですが、原画集としての充実度も過去に無いレベルの内容になっています。

 十数秒ほどの短いCM映像ということで、通常の原画集なら省略されてしまいそうな素材まで余すところなく掲載しており、原画はもちろん、修正やレイアウト、絵コンテまでが一冊に凝縮された形でまとまっています。
原画集を見ていると「あれが見たかったのに無い」という、掲載資料の取捨選択がどうしても気になってしまうものです。その点、この本にはほとんど全てといっても良い量の原画が掲載されており、もうそれだけでも満足してしまいますね。
 さらに、かゆい所に手が届く画像の配置の仕方で、これまた原画集にありがちな「じっくりと見たい絵が小さい」というストレスもほとんど感じません。これは大変嬉しいことです。

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 また、デジタルを駆使したお仕事が特徴的な坂詰さん榎戸さんならではの見どころとして、全ページフルカラーなのが良いですね。
掲載されているレイアウトは、イラストのように描きこまれていて、それだけでも大変見ごたえのある「絵」として描かれている印象です。それに加えて、撮影や美術に対してサジェスチョンが含まれた「素材」としての面白さも見て取れました。
 撮影でのボケ具合が考えられているレイアウトなども興味深いです。ざっくりとしたブラシで層を重ねるように描かれた空のレイアウトでは、空の色のグラデーションの変化が分かりやすく伝わるように描かれていて、デジタルでの絵ならではの表現だと興味深く感じました。

 フルカラーのページを活かして、「原画」と「仕上げ後の色が塗られた素材」との比較が掲載されていたり、仕上げ後さらに付け加えられた「TP修正(トレスペイント修正)」との比較が掲載されていたり。デジタルでの実制作作業の様子が伺える素材の掲載も、マニア心をくすぐるものですね。
 このような色や、最終的な画面の光のイメージに関して、掲載されている絵コンテからレイアウト、そして完成映像を観て最終的な画面を細かく見比べることができるのが、この原画集の面白いところだと思います。

 例えば、デジタルでの撮影にこだわる監督というと新海誠さんがいますが、絵コンテの段階では色味まで完全に指示するような内容で描かれているわけではありません。一方、近年の宮崎駿さんの描く絵コンテは、アナログながら、水彩で色が塗られており、これもまた完成映像のイメージを伝えるための手法なのだと思います。
 今の日本のアニメ業界では、絵コンテを描くところから映像を完成させるまでの、一連の工程の中でのイメージの伝達に関して、「デジタル上で絵を描くこと」と「アニメ用の素材として実際の画面となる絵を描くこと」とのあいだに、技術上の分離が存在してしまう状態です。しかし、この本を見ていると、やがてはその特性を存分に活かしたデジタルならではの映像が作られていくのではないか、という期待を感じさせられます。
 CMという短い映像の原画集である利点が存分に活かされていること。また、「どのようにしてアニメは出来上がるのか?」という原画集を見る根本的な興味に対して、 各資料の榎戸さん坂詰さん達のコメントを読みながら本を見て追体験できること。この本は、そうした点で原画集として素晴らしい本だと思います。
 お2人は、その後アクションディレクターという形で、TVシリーズ『Fate/Apocrypha』に参加され、つい最近でも『Fate/Grand Order -Cosmos in the Lostbelt-』のTVCMの最新作が公開されました。
 また坂詰さんは、アニメ『ブラック・クローバー』の最新のOPで絵コンテ・演出を担当。作画メンバーのほとんどが商業アニメに初めて参加する新人という異例の体制で制作されました。
 アニメーターとしては勿論、その意欲的な活躍がどのようにアニメ業界を変化させていくか、この本を見ていると、とても楽しみになってきます。

(『Fate/Grand Order drafting material -CM Animation Original Drawing Works-』/まゆとかげ/3,500円)

Fate/Grand Order TV-CM
[第3弾] [第5弾] [第6弾] [第7弾] [水着イベントCM]
【最新作】「Fate/Grand Order -Cosmos in the Lostbelt-」30秒CM


お蔵出し原稿

 『フリースタイル』のために書いた『輪るピングドラム』の原稿です。初めての依頼だったので、読者のエモーショナルな部分に響くように書こうと思った一文です。

 高校生のある時期、頭でっかちの上に煮詰まった僕は一つのことばかりを考えていた。それは「世界を救うとは、どういうことなのか」ということ。今思えば、自分の狭い世界に対する様々な違和感を、「世界を救う」という言葉に込めて、頭の中でぐるぐるとこねくり回していただけに過ぎないのだが。
 『輪るピングドラム』を見なが思い出したのは、高校時代のそんな感情だった。

 

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