ライムスターの宇多丸さんがパーソナリティーを務めるTBSラジオの帯番組『アフター6ジャンクション』。アニメ紹介係としてこれからちょくちょく出演すると思います。
 17日火曜日は20時台の高畑勲監督追悼特集に出演します。高畑作品に詳しくない若い世代に向けてお話をする予定です。ゲストは僕以外に、日テレプロデューサー(元スタジオジブリ)の高橋望さんです。

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1.最近のお仕事紹介
2.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
3.前回のアニメの門チャンネル
4.お蔵出し原稿
5.連載一覧


最近のお仕事紹介

1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
 5月19日『コードギアス 反逆のルルーシュ』【受講申込】
 6月16日『DEVILMAN crybaby』(+旧作)【受講申込】

2.5月のSBS学苑(静岡)
 5月27日は『君の名は。』を取り上げます。大ヒット作の隠れた魅力にフォーカスします。【受講申込】

3.4月の「オタクの学校」(東京・浅草)
 4月28日開催予定です。近日中に予約が始まると思います。『宇宙よりも遠い場所』を取り上げる予定です。【受講申込】


連載「理想のアニメ原画集を求めて」

文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

第63回「ササユリカフェ『龍の歯医者 原画展』『B:The Beginning 原画展』」

 西荻窪にあるササユリカフェでは、定期的にアニメ関連の原画展が開催されており、最近『龍の歯医者 原画展』『B:The Beginning 原画展』と続けて足を運んでみました。以前にも、このコラムでササユリカフェを話題にしたことがありますが、その後も途切れることなく何かしらの原画展を開催しているようです。
 本来はおしゃれなカフェで、原画展といっても入場料のようなものは無く、カフェでの飲食代のみで展示を見ることができます。ゆっくりお茶をしながら興味のある展示でも眺めるといった感じですが、毎回なかなかの濃度でアニメに関する資料を常設的に展示している珍しい空間となっています。
 『龍の歯医者』『B:TheBeginning』の展示では、設定資料や原画のコピーが中心でした。

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 『龍の歯医者』の展示は、プリプロダクションでの資料が充実しており、決定稿に至るまでの試行錯誤の様子や、イメージボード的な絵を大量に見ることができました。
 原画の展示は、主にコピーした原画がパラパラできるようになっているのですが、『龍の歯医者』を制作しているスタジオカラーは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを制作中のスタジオ。 『龍の歯医者』 にも錚々たるアニメーターの方々が参加されていました。『人狼』や『攻殻機動隊』で有名な沖浦啓之さん、『虹色ほたる』や『劇場版名探偵コナン』で活躍されている森久司さんの原画を見れて眼福でした。
 他にも、スタジオカラー出身として活躍されているキャラクターデザインの井関修一さんや池田由美さん、大島塔也さん達の原画も見ることができたのですが、特に大島さんの原画は龍の歯の中に入るドラッギーなシーンの原画を見ることができ、見ごたえがありました。
 大島さんの原画は、1カットでも原画集には絶対に掲載できないレベルの分厚い物量で描かれた原画で、独特のヨレヨレした線も相まって興味深い仕上がりでした。

 『B:The Beginning』での原画展は、設定や原画などはもちろん、背景美術画の展示もあり、レイアウトと見比べられる絵もあって、興味深く見ました。アニメーターの描いたレイアウトと美術の人が描いた背景美術画を直接見比べる機会も、なかなか無く貴重です。
また、設定資料の展示も見応えがありました。量が多いのはもちろんですが、設定画が原版サイズの大きな紙でファイルにまとめられていて、それを見ることができたのが貴重な体験でした。アニメの設定資料は、印刷やコピーではA4ほどの大きさで見ることが多いですが、実際はかなり大きなサイズで描かれています。知識としては知っていたのですが、実際の大きさで見たことは今までになく、なかなか見ごたえのある展示でした。  近年では、『残響のテロル』や『黒子のバスケ』シリーズのOPや本編などで活躍されていた中澤一登さんですが、最近中澤さんの名前を知った人から長年のファンまで十分に満足できる展示だったと思います。他にも、エフェクト作画で有名な金子秀一さんの原画が展示されていたのですが、タイムシートを見てみると高密度の爆発が動画を挟まずに描ききられていて、圧巻でした。

 ササユリカフェでの原画の展示は、主に鏡張りになった壁に額装された絵がかけられていて、コの字型のソファー席にファイリングされた資料やコピーされた原画が置かれており、ファイルやコピーは直接手にとって見るというスタイルになっています。他の原画展では、資料を直接手にとって見るようなスタイルは少なく、ササユリカフェのように原画を直接パラパラとめくって見ることができる機会というのは殆ど無いと思います。
原画と一緒にタイムシートも基本的にセットで置かれており、展示の規模は一見小さいように感じられるかもしれませんが、質と量ともに原画展としての見ごたえは他に勝るものがあると思います。

 また、原画展によっては撮影が自由という場合もあり、原画展でしか見られない貴重な資料を記録に残せる展示となっています。
マニアにとっては至れり尽くせりといった感じですが、初めて作画的な資料に触れる機会を作る場所としても貴重な場所として存在していると思います。
 開催される原画展は、原画集などではなかなかお目にかかれない人たちや、作品を取り上げることも多く、ここでしか見られないという内容が少なくありませんので、小まめにチェックすると良いと思います。
 ササユリカフェでは、今後もアニメ業界周辺の濃い展示を展開していってくれるのを期待しています。

ササユリカフェ[Webサイト][公式Twitter]


前回のアニメの門チャンネル

 4月6日の『アニメの門チャンネル』は『宇宙よりも遠い場所』を取り上げました。
 本作は「距離があるからこそ育まれる思い(友情)」を描いた作品であるというアングルを用意し、それに相当する各話のシーンを挙げていく内容でした。
 この内容をレジュメ化して、『オタクの学校』で取り扱う予定です。
 【オタクの学校の詳細はこちら】


お蔵出し原稿

 アニメージュでufotableの『桜の温度』(平尾隆之監督)を特集した時の原稿です。

ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
「小景異情」室生犀星

 一番自分に馴染む場所。だから、一番嫌いな場所。故郷を思う気持ちはいつも二つに引き裂かれる。『桜の温度』はそんな故郷についての映画だ。