メルマガ本文でも紹介していますが、2月10日に朝日カルチャーセンター新宿教室で。『僕だけがいない街』『ソードアート・オンライン』の伊藤智彦監督を招いて講座を開きます。タイトルは「この映画の話をしよう」。伝説的映画『太陽を盗んだ男』をお題に、この映画の魅力や影響について語っていただきます。
アニメと邦画がクロスオーバーする刺激的なトークになりますので、是非お申込みください。【受講申込】
では、いってみましょう。
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1.最近のお仕事紹介
2.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
3.お蔵出し原稿
4.連載一覧
最近のお仕事紹介
1.朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
2月17日「アニメと戦争2 『ヤマト』と『ガンダム』編」【受講申込】
3月17日『君の名は。』【受講申込】
2.朝日カルチャーセンター新宿教室 伊藤智彦監督『この映画の話をしよう』
『ソードアート・オンライン』の伊藤智彦監督をお招きして、映画『太陽を盗んだ男』のお話をうかがいます。伊藤作品にも影響あったという『太陽を~』。いろんなアニメに影響与えた本作の真の魅力とは!?
【受講申込】
3.3月のSBS学苑
まだ予約開始をしていませんが、3月は「声優の歴史」を取り上げます。歴史に限らず、知ってるようで知らない声優さんのあれこれを筋道を通って理解できるようになる内容です。
連載「理想のアニメ原画集を求めて」
文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)
第58回『堀剛史原画集2017 TAKAFUMI HORI KEY ANIMATION NOTE』
今回もまた、先日開催された「コミックマーケット93」で頒布された原画集です。 内容は、アニメーターの堀剛史さんが参加された、TVアニメ『リトルウィッチアカデミア』でのお仕事をまとめたものです。210ページ程の分厚い同人誌で、中身も見ごたえがありました。
まず本を開いて驚いたのが、みっちりと詰まった絵の密度です。可能な限り多くの絵を掲載するために、無駄を排したページ構成で、原画やレイアウトも基本的にタップ穴や余白などをトリミングした状態で掲載されていました。そうした意識を感じる原画集は今までにもありましたが、この本は群を抜いている印象で、まるで尻尾まであんこが詰まったたい焼きのようですね。
カラーページは少ないのですが、そこには原画集としては珍しいペイントデータが掲載されていました。以前にも触れたことがあるかもしれませんが、通常はアニメーターが絵に直接関わるのは動画までです。修正は、それ以前のレイアウトや原画の段階で行われるのが一般的ですが、中には「TP修」という工程も存在します。「TP」というのは、「トレスペイント」の略語で、「TP修」というのはアニメーターが描いた絵がスキャンされ、デジタル上で色が塗られた状態から更に修正を加えることを指します。『リトルウィッチアカデミア』での堀さんは、メインアニメーター・原画としての参加ですが、同人誌を読むとTP修などのデジタルでの作画作業や、動画段階での修正まで積極的に参加されていたようです。
また、他にも新人育成の教育にも関わっておられたようで、その際に描かれた修正なども掲載されていました。あとがきを読むと、そもそもこの本自体が、これから原画マンになっていくであろう動画の人たちに向けて作られた本だったようです。掲載されている原画には細かいコメントが付いていて、カット内容の解説というよりは、絵コンテをどう読み取って単調な内容にならないように意識するかが細かく説明されていました。コメントの内容を読んでみると、アニメではよく見かける見せ方でも、どのように工夫して見せるかを考えて一つ一つのカットを作り上げているその姿勢を感じることができます。
堀さんのお仕事を見ていると、奥行きを強調した動きを描かれる方だなという印象があったのですが、そうした動きに対するこだわりなども色々と書かれていて、掲載されている原画とコメントを交互に見ているだけでも楽しめます。
『映画クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶブリブリ3分ポッキリ大進撃』で、おそらく堀さんのお仕事だと思うのですが、スーパーヒーローになった野原ひろしと牛型の巨大怪獣の拳がぶつかりあって、怪獣が後ずさるというシーンがあります。後ずさった怪獣が腕を振る動きをした際に、遠近感を誇張された怪獣の腕が巨大に描かれていて、引っ込むと普通の大きさになるという描き方をされていて、こういう遠近感の表現があるんだなと興味深く思った記憶があります。
他に印象的なお仕事では、『劇場版アニメ 忍たま乱太郎 忍術学園 全員出動!の段』での砲撃シーンでは、おそらく歴史的な考証に基づいた描写なのだと思いますが、砲弾が爆発するのではなく、地面をバウンドして飛んでくる強力な投擲兵器として描写されていて、迫力とリアリティを同時に表現している面白い作画だったので、一度目にして欲しい作画です(この作品はamazonプライムビデオで観られるようです)。
他にも、『はじめの一歩 New Challenger』第19話では、記者会見でヒートアップするブライアン・ホークの頭皮から顔面を背景動画で動かすというインパクトのある作画をされていて、記者会見という地味なシチュエーションとは思えない強烈な作画をされていました。
この本の珍しい点は、コメントが全て英訳されて、日本語と英語両方の言語で掲載されているところです。アニメのムック本では『千年女優画報』でそうした表記を見たことはありましたが、原画集の中で見たのは初めてだと思います。これは海外の読者を意識してのことだと思いますが、これ以前に出ていた堀さんの原画集には、なんと海外のカートゥーンネットワークの作品『スティーブン・ユニバース』の原画が掲載されていました。かなり稀有なことで、海外の作品の原画が掲載されたのは、もしかすると日本の原画集同人誌では初めてのことかもしれません。この原画集の中のコメントを読んでいても、『スティーブン・ユニバース』スタッフとの交流について触れられています。近年では、湯浅政明さんが『アドベンチャータイム』にスタジオ単位で参加したことはありましたが、日本のアニメーターでのカートゥーンネットワーク作品への参加ということ自体が珍しいことだと思います。
『リトルウィッチアカデミア』は、もともと文化庁若手アニメーター育成プロジェクト『アニメミライ』の1本として制作された短編から、劇場、そしてTVシリーズと続いている作品です。堀さんは、第1作目から参加されているスタッフですが、こうして後継者の育成を意識されて原画集として形に残るものを作られている。素晴らしいことですね。
アニメ原画集の数自体は商業、同人誌ともに増えてきていますが、誰に向けて作られている本か?という部分に、いまいちあいまいな所があります。そうした本ばかりとは思いませんが、後続のための手引きとして原画集が持つ意味はとても大きいものだと思います。
(『堀剛史原画集2017 TAKAFUMI HORI KEY ANIMATION NOTE』/ChaChaCha/2500円)
お蔵出し原稿
前回に続いて、幻に終わった単行本原稿の「0稿」を掲載します。『TVとアニメの時代(仮)』の第1章になります。
第1章 『鉄腕アトム』以前以後
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