アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門メールマガジン

アニメ評論家・藤津亮太のアニメの門ブロマガ 第106号(2017/1/27号/月2回発行)

2017/01/29 03:27 投稿

コメント:1

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 『声優語』の2月1日発売に先立ち、そこあにさんに取材していただきました。
 そこあに増刊号「声優語~アニメに命を吹き込むプロフェッショナル~」特集 vol.35

 『声優語』は発売に合わせてイベントも2つ行います。

 1)2月12日12:30よりネイキッドロフトで個人的なイベント「『声優語』のできるまで」をやります。「藤津プラス」でも一緒だった声優・ライター那瀬ひとみさんに聞き役をお願いして、どんなつもりで連載やってきたかをお話します。
 2)2月20日にジュンク堂書店池袋本店でトークをします。ゲストは『風の谷のナウシカ』『らんま1/2』などを手がけられた音響監督の斯波重治さんです。『声優語』のボーナストラック的なお話です。以下、URLから予約を是非!/ 2/1発売『声優語』刊行記念 音響監督から見た「声優」

 特に2月20日のトークは非常に貴重な機会なのでぜひよろしくお願いします。

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1.最近のお仕事紹介
2.Q&A
3.連載「理想のアニメ原画集を求めて」
4.お蔵出し原稿


最近のお仕事紹介

1.2月期の朝日カルチャーセンター新宿教室「アニメを読む」(東京)
 2月18日は『アニメとリアル「リアル」とは何か編』。日本のアニメの重要キーワードである「リアル」の系譜を探ります。
 https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/b626c7ea-5b4b-ea28-b691-5814094e6f5b
 3月18日は第二期が放送中の『昭和元禄落語心中』です。第一期を中心に、作品の魅力に迫ります。
 https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/874f6ef5-2f27-7486-43f3-5814094ac465

2.2月25日朝日カルチャーセンター新宿教室「僕はこんな作品を見てきた。1995年とメディアの変遷」
 幾原邦彦監督を招いての講座第三弾。今回は1995年をキーワードに、90年代以降を振り返ります。いつも満員なので気になる方はお早めに是非。
 https://www.asahiculture.jp/shinjuku/course/3dbccf02-5831-6dee-2b5a-5875c39f1687

3.1月のSBS学苑パルシェ校「アニメを読む」(静岡)
 1月29日10:30からは『ロボットアニメの歴史』を取り上げます。日本のアニメ史の中でも独特の地位を占めてきたロボットアニメというジャンルが、どんなふうに変化してきたかを追いかけます。
  http://www.sbsgakuen.com/Detail?gakuno=2&kikanno=177856

4.2月の栄・中日文化センター(名古屋)「アニメを読む」
 2月4日15:30より「3DCGアニメの歴史」と題して、最近増加している3DCGアニメはどのように発展してきたかを振り返ります。ピクサーの創設から始まり、国内の『レンズマン』から『アルペジオ』に至るまでの取り組みを振り返ります。
  https://www.chunichi-culture.com/programs/program_171186.html

5.3月のNHK文化センター青山教室(東京)
 3月18日13:30からNHKカルチャー青山教室で開催の「アニメを読む」は『アイアン・ジャイアント』です。ブラッド・バード監督の初監督作品、『アイアン・ジャイアント』の魅力をいろいろな角度から考えます。
 https://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_1088222.html


Q&A

「なぜなにアニ門」で質問を募集しています。「件名」を「なぜなにアニ門」でpersonap@gmail.comまで送って下さい。

Q)僕は、富野由悠季監督のアニメの中ではブレンパワードが一番好きです。しかし、ブルーレイBOX化の話が全く聞こえてきません。最近Vガンダムや∀ガンダム、キングゲイナーのブルーレイBOXは発売されましたが(全て購入しました)、ブレンパワードだけスルーされているような気がします。言える範囲で構いませんので、教えていただけると幸いです。(ハンドルネーム:ヌンサ)

A)僕のところには情報は入ってきていませんねー。ただ、ラインナップ的にはまるところがあれば、いつ出ても不思議ではないと思います。


連載「理想のアニメ原画集を求めて」

文・水池屋(コーディネート:三浦大輔)

第34回『クイーンデキム ANIME MIRAI DEATH BILLIARDS STAFF BOOK』

 同人誌の一ジャンルに「お疲れさま本」と呼ばれるものがあります。
制作が終了したアニメのスタッフ達が制作終了の記念に作ったりする同人誌で、内容は基本的にはスタッフたちの寄せ書きイラストやコメントを1冊にまとめたものが多いと思います。
 近年のコミケでは、スタッフの自主的なものというよりは、企業から直接販売される形のものも多くなっているようです。
イラストやコメントがメインということで、制作的な資料が掲載されることは少し珍しいのですが、今回取り上げる本にはそうした資料も数多く掲載されています。
92pほどの本ですが、その内容はなかなかの充実ぶりです。

 『クイーンデキム ANIME MIRAI DEATH BILLIARDS STAFF BOOK』は、そもそも何の作品のお疲れさま本かというと、『デス・ビリヤード』という作品です。これは、2010年度から、文化庁より委託を受けた団体が実施する「若手アニメーター育成プロジェクト」の中の一作品です。当時は「JAniCA」、現在では「日本動画協会」が行っている活動です。
「アニメミライ2013」というプロジェクト名で制作された4作品の内の1本が『デス・ビリヤード』です。この作品は、後に『デス・パレード』としてTVシリーズ化されました。並んで制作された『リトル ウィッチ アカデミア』も、現在TVシリーズが放映されています。

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 「若手アニメーター育成プロジェクト」という名前通り、この活動は若手のアニメーターを作品の実制作を通して育成するというのが目的ですが、実際にどのような育成が行われているのかということはよく分かっていません。育成方法は、各作品に参加する指導役の演出家・アニメーターそれぞれに違うものなのだと思いますが、この本ではどのような指導が行われていたのかの一部を見ることができます。
 「若手原画のレイアウトが出来るまでの工程」と題して、若手原画として参加した各アニメーターのレイアウト、またそのレイアウトが作画監督による修正や指導によって、どう変化していったかが監督のコメント付きで掲載されています。作画監督による修正とはいうものの、直接絵を載せて作画を修正するというよりは、一度上がってきた若手原画のレイアウトに対して、作画監督がどう直していけばいいのかを解説している様子が、掲載されている資料から伺えます。
 各レイアウトのカメラアングルや、そこからパースなどをどう調整していくか等について説明している図が掲載されています。これは、直接画面に出る絵や素材などとは違うので、原画集やそれに類する資料本などで目にすることはまずないものでしょう。

 それ以外にも、「原画集」パートには「中堅原画」として参加された、ベテランアニメーターの堀内博之さんや高橋裕一さんの原画などが収録されており、若手だけでなくベテランアニメーターの実力を感じられる原画を見ることもできます。
 最後にはキャラクターデザイン・作画監督の栗田新一さんの作画監督修正も掲載されており、100pに満たない本ではありますが、その内容はかなり凝縮されたものとなっています。
 この作品に参加していた若手原画の村上泉さんのお仕事を、現在放映中の『ACCA13区監察課』のEDで見ることができます。絵コンテから、演出、原画まで一人で手がけられており、その活躍ぶりが伺えます。
 また、TVアニメ『リトルウィッチ・アカデミア』でも、当時参加していた若手原画の方がメインスタッフとして活躍されている様子を見ることができます。

(『クイーンデキム ANIME MIRAI DEATH BILLIARDS STAFF BOOK』/クイーンデキム/1080円)


お蔵出し原稿

 2015年8月ごろ、S-Fマガジンに掲載された、「伊藤計劃作品から連想するアニメ」原稿です。『虐殺器官』公開記念といううことで再掲します。

  伊藤作品を起点とする連想ゲーム的なリストとして作品を選んだ。連想ゲーム的になったのは、作品のムードやドラマ性の類似というより、キーワードを接点にしたからだ。
 最初のキーワードは『虐殺器官』『ハーモニー』に共通する「管理社会」。
 管理社会を描き、近年ヒットした作品が『PSYCHO-PASS サイコパス』('12)。本作の要は、人間の心理的性格的傾向を数値化するシビュラシステム。この導入により公安局は犯罪傾向を帯びた人間を「潜在犯」として事前に身柄を拘束できるようになった。かくして2112年の日本は、世界各国が内戦状態にある中、例外的に幸福な法治国家として運営されている――という設定だ。TVシリーズ第1期は、このシビュラシステムを破壊しようとする犯罪者・槙島聖護と厚生省公安局の刑事である常守朱、狡噛慎也の攻防が描かれた。

 

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コメント

アニメの門ブロマガ第104号でのコメント欄に返信しました。

小泉正人さんが出られる3日のアニメの門への質問のつもりで以下書きます。

幸福の科学のアニメもエントリーされる米アカデミー賞長編アニメーション映画部門ですが
『Belladonna of Sadness』がエントリーされなかったのは何故でしょうか。
エントリーには例えば一定の供託金を積む必要があるが、向こうの配給が其処までしてエントリーする必要はないと判断したのなら何とも勿体無いと思います。『哀しみのベラドンナ』をアカデミー賞にエントリーさせるためのクラウドファンディングを日本国内に向けて募集したら必要額を集められた蓋然性は極めて高かったろうからです。そして私は、44年前に作られた傑作だが意図して抹殺され続けたアニメーション映画がオスカーのレースに乗る様を、観たかった。

エントリーされた「your name.」「Miss HOKUSAI」「The Red Turtle」ですが、「your name.」と「Miss HOKUSAI」とで票を喰い合ったのでしょう。「アカデミー賞受賞で更に興行を伸ばした千と千尋」に肖ったつもりなのでしょうが、ゐきぺの記述を信ずる限り、『Chihiros Reise ins Zauberland』が取ったのは2002年の金熊賞であり、『Spirited Away』は2002年度つまり03年春のオスカーにエントリーしたのであって、日本ではなく米での本格公開に合わせてるのです。「your name.」同年エントリーを急かしたのは誰でしょうか、「In This Corner of the World」の米公開→オスカーエントリーが17年度になるなら「良かった」ですが、遅れるかもしれないし。

「The Red Turtle」がノミネートされた事にはジブリのロビイングも一因でしょうが、高畑勲が監修してジブリが出資しているが日本映画では無く況てアニメなどではあるわけがないアニメーション映画がオスカーに歩を進めること自体は日本国内への啓蒙的な意義があって非常に宜しい事だと思います。とは云え「百日紅」は日本で不入りだったのだからオスカーの威力で日本で注目されて欲しかったし、抑「アニメ(アニメ様式のアニメーション)」自体の国際的な評価が落ちてるのではないかと気がかりです。ともあれ赤亀観てないので再公開して欲しい

No.1 95ヶ月前
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