今回は、民主主義社会が思想的な目標を持たなければならない理由について。
これから紹介するのは私の知人の国際政治研究家の後輩の方の思想である。
以前、私に意見が似ていると言うことで紹介してもらった。
大和思想(第一章、第二章) http://w-n-j.com/index.html
以下に重要な理論が書かれているので紹介する。
まずは、思想の社会への影響について。
(大和思想から転載)
「P24
『世の中に存在する全ての社会システム』
『世の中で起きている全ての出来事』
『世の中そのもの』
というのは、人類の歴史上に存在していた
『思想、考え』
または、現存している
『思想、考え』が原因で作り出されたものである。」
ということがわかるのです。
そしてその事から、「もし世の中に存在している全ての人が、
『まともで正しい思想、考え』
を持って生きているのなら、そういう人達は、まともで正しい社会
システムを作り、まともで正しい運営をし、まともで正しい行動を
するので、世の中に作り出される全ての社会システム、世の中で
起こる全ての出来事、世の中そのものは、
『まともで正しいもの』
になる」
(転載終了)
上記の文章では思想の圧倒的な社会的影響力について語られている
。
私も思想を重視しているので影響力は認めるが、問題は、マルクスなどが述べているように、経済的土台があって始めて社会は成立するということである。
思想のみで社会は成り立たず、日々の生活を可能にする経済システムがまずあり、その上に思想が存在している。
経済システムは、その時の技術の発展段階で大きな制約を
受けてきた。
例えば、古代ギリシャの時代に、普通選挙制度を行おうとしても、
技術が未発達な段階では、働く奴隷が存在しなくては、市民は
食べていくことができず民主政治を行うことはできなかっただろう。
そして民主政治が成立しないなら、民主的な思想も発展しない。
一方で思想が下部構造の経済に影響を与える例も数多い。
典型が最近の貧富の格差を拡大させる新自由主義経済である。
現在の世界で貧富の格差を必然とする経済の下部構造は存在
しないが、一部の富裕層がそれを推し進める思想を取り入れ、
世間に普及させてきた結果、起こっている事例である。
思想と経済のどちらが影響力をもって社会を作り上げているのか?
この問の答えは、どちらも影響を与え合っている、ということだ。
社会を考えるときは、思想だけでも経済だけでも
不十分であり、両方を同時に考えなければならない。
それでは、良い社会を作るときに、どのような思想と政治経済システムが良いのだろうか?
(以下 大和思想から転載)
P33
「幸福になることができる思想」
というのは、イコール
「自分と自分以外のあらゆるものとの関係を、良い状態にする
ことができる思想」
のことだと言えるのです。
P47
「人間の性質」
1、「人間は幸福を求めている」
2、「人間は社会的生き物である」
3、「欲というものは、全ての人が持っているものであるが、
それは意志によってコントロールすることができるものである」
4、「孤独感というものは、全ての人が持っている感覚であるが
それは幸福を感じる事ができなくなる要素である」
「世の中の性質」
「世の中に存在しているものは、全て有限である」
P63
しかし、世の中に存在する、ほとんど全ての「思想、考え」
には、二つの大きな欠陥があるように思えます。
その一つは、世の中に存在する、ほとんど全ての「思想、考え」
は、人間が求めている「幸福」というものが、どういうものなのか
をはっきりと定義していないというものです。
つまり「幸福になる」と言っていても、その「幸福」というものが
どういうものなのか全くわからないのです。
P64~P66
二つ目の欠落は、「幸福」が定義されていないので仕方がないの
ですが、最終的に至るべき「幸福」から、「逆算」されていない
というものです。
もし目的が明確であり、正しく「逆算」されているのであれば、
それを実現するために、今やらなければならないという事と
いうのは、必然的に導き出されます。
そして。その導き出された答えというのは、自分が
「どうしたいか」
「どうありたいか」
ではなく、
その目的を達成するために、
「どうしなければならないのか」
「どうあらねばならないのか」
「~をする必要がある」
「~をしなければならない」
というような義務や責任のような半強制的なものとして導き
だされます。
二つ目の欠陥というのは、この「逆算」がされていないというものです。
このように、目的が明確でなく、また、目的を達成するために
必要となる「逆算」もされていないような「思想、考え」に則って
生きているのなら、最終的に「幸福」に至ることはできません。
(転載終了)
つまり、幸福な人生と社会を作るには以下のことが必要になる。
・人間が社会的な存在である以上、個人の幸福と社会の幸福が結びつくべきである
・人々の幸福を定義し、それを目標とする
・その目標から現状を認識する。
・目標を達成するための逆算を行う
まずは、社会的な幸福の定義と目標の明確化が無ければ、
其の後の展開は始まらない。
幸福の定義で見たように、どのような状況を幸福とするかは
人によって異なってくる。
そこに思想の多様性が存在するわけだが、
近代の民主主義社会の目標とは何かを考えると、
人間の尊厳の実現となる。
人間の尊厳とは
「人間は自由で平等である」
という言葉で表現される。
この言葉を状態で表すと、
「誰もが支配されない状態」
ということになる。
ここに人権に基づく民主主義を目標とする原理があり、
普通選挙制度はその理念に基づいて作られている。
そして、人権民主主義の幸福の定義もまたそこに存する。
「人間は自由で平等である」という人権に基づく普通選挙の
諸権利に賛同するならば、
「誰もが支配されない状態」
が目標となる。
目標無き民主主義は単なる権利の羅列に過ぎず、
パワーのあるものに操作される衆愚政治の基盤となる。
幸福の定義に基づく目標が不明確ならば、
現状を理解することはできず、目標を達成
するための方向性が存在しない。
現在の民主主義は本来のあるべき目標が
「無意識化」
されている。
それが民主主義の基で生活をしている
我々の価値観を迷走させている根本原因である。
必要なのは、民主主義社会における
幸福の定義と目標の「意識化」であり、
そこから発生する現状認識であり、
目標を達成するための方向性である。
その方向性は以下のようになる。
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