主張

消費税増税「延期」

失政認め、きっぱり中止こそ

 安倍晋三政権が来年4月から予定している消費税の8%から10%への引き上げを「延期」するのではという見方が広がり、閣内や与党の自民、公明からも「延期」をめぐる発言が相次いでいます。安倍政権が増税の「延期」を口にせざるをえなくなっているのは、経済政策「アベノミクス」でも経済が立ち直らず、一昨年4月からの消費税の5%から8%への増税による消費の落ちこみも長引いて、このまま増税すれば国民の暮らしも経済も破綻することが明らかになっているからです。安倍政権は国際情勢の悪化などとごまかさず、増税をきっぱり中止すべきです。

国際情勢任せは許されぬ

 首相は公式には「リーマン・ショックや大震災のような事態でもない限り」、増税は実施するとの発言を繰り返しています。しかし一方で「世界経済の大幅な収縮」の行方を見定めるなどともいい、内外の有識者を招いた国際金融経済分析会合を重ねています。

 初日(16日)のスティグリッツ米コロンビア大教授との会合では、教授が消費税増税の見送りを求め、3回目(22日)に会合したクルーグマン米ニューヨーク市立大教授も、消費税増税は「いまやるべきではない」と語っています。会合相手の人選は首相官邸が行っており、発言も一様ではありませんが、世界の「有識者」の声だからと、安倍政権が消費税増税延期に踏み切る可能性は否定できません。

 問題は安倍首相が「世界経済の収縮」などを言い訳にするのではなく、「アベノミクス」そのものが経済を悪化させ、消費税増税を困難にしていることを認めるかどうかです。日本共産党の小池晃議員が22日の参院財政金融委員会でも厳しく批判したとおりです。

 一昨年の消費税増税の影響を「ワンショット」(一時的)としてきた安倍首相も最近の国会答弁では、「予想以上に長引いている」と認めています。「アベノミクス」については雇用などへの「効果」ばかりを強調していますが、「好循環」どころか、大企業がもうけを増やしても賃金や消費の拡大に結び付かない「悪循環」ぶりは現実が示すとおりです。政府の3月の月例経済報告も景気の減速を認めました。菅義偉官房長官も「増税しても税収が減るようなら」というように、「アベノミクス」と消費税増税路線の行き詰まりは明白です。安倍政権は破綻と失政の責任をはっきり認めるべきです。

 安倍首相が「アベノミクス」の失敗を認め中止を決断しない限り、暮らしも経済も立て直すことはできません。いくら消費税の増税を延期しても、落ち込みを続ける暮らしに不安が残っていては、消費が拡大することはありません。安倍首相が失政の責任を認め、消費税増税は延期ではなくきっぱり中止に踏み切ることが不可欠です。

選挙目当ては許されない

 安倍政権のなかでこの時期消費税増税の「延期」を求める声が相次いでいるのは、6月から7月にかけて行われる参院選挙や参院選と「同時」の見方も高まっている衆院選を念頭に置いたものであるのは明らかです。選挙目当ての増税延期論など言語道断です。それこそ失政を棚に上げ、国民をごまかすものでしかありません。

 安倍首相に失政の責任を認めさせ、消費税増税とともに首相を「退陣」に追い込むことが重要です。