主張
「保育園落ちた!」
悲鳴受け止め打開する政治を
保育園(所)の入園選考で子どもが落とされた母親が政治への怒りをつづったブログに子育て世代を中心に共感が広がり、安倍晋三政権の「子育て・保育対策」に厳しい批判が上がっています。復職予定の親が子どもを預ける保育所を確保できない事態は、死活問題なのに、「実際に起こっているのか」「確かめようがない」と平然と述べた首相に批判が集中したのは当然です。「働きながら子育てしたい」という国民の当たり前の願いをかなえることすら、この国では困難なのか。親の悲鳴を真剣に受け止め、事態を打開できる政治の実現が急務となっています。
国への怒りが急速に拡大
「保育園落ちたの私だ」―。安倍首相の「確かめようがない」との無責任な国会答弁や、質問した野党議員に向かってやじを飛ばした自民党議員らに憤った親たちが急きょ国会前で行動に立ち上がったり、ネット署名がわずか数日で約2万8千人分も集まったりするなど父母らの怒りの声は急速に広がりました。世論の広がりにあわてた安倍首相や与党が追加対策の検討を始めるなど政権を突き動かす状況をつくりだしています。
保育所を希望しながら子どもが入れない待機児童の増加は年々深刻になり、2013年からは都市部を中心に待機児の親たちが「保育所つくって」などと声を上げ、地元自治体にたいする異議申し立ての運動が続いています。今回、「落ちたの私だ」の怒りが政府や国会に向けられる動きへ発展したことは、「待機児童ゼロの実現」などを掲げておきながら、現実を直視しようとせず、現状を真剣に解決しようとしない安倍政権にたいする、親たちの強い不信や不満、いらだちを示しています。
昨年4月、全国の待機児童数は2万3167人にのぼり5年ぶりに増加に転じました。入所を申し込んだ人が前年より約13万人も増えたのに、保育所増設・整備の速度と規模が親の希望に追いつかない実態を浮き彫りにしています。
今年も4月を目前に、各地で多くの子どもが入所できない状況が明らかになっています。大阪府吹田市では1000人以上が選考で落とされ大問題になっています。
「育児休業はもう延ばせない」「会社を辞めるしかない」。乳幼児を抱える親の悲痛な叫びを放置することは許されません。国は、自治体任せにするのでなく、親の切実な願いの実現に向け、実態把握と緊急措置を行うことが必要です。
安倍政権は昨年から「子ども・子育て新制度」をスタートさせました。保育の公的責任を後退させ「営利企業任せ」を狙う新制度では、現状を解決できず、むしろ悪化させていることは、明らかです。
公立保育所を減少させてきた従来のやり方を改め、公立認可保育所の計画的安定的な増設・整備、保育士不足解消へ向け、国の責任による抜本的な処遇改善や正規職員化に全力を注ぐべきです。
「泥縄式」では打開できず
国民の批判の高まりの中、安倍首相や与党が緊急対策の検討を開始したことは、「1億総活躍社会」の柱にした「待機児ゼロ」対策の不備・欠陥を自ら認めたに等しいものです。従来政策の延長線上で泥縄式に対応しても深刻な現状は打開できません。暮らしの実態に寄り添わず掛け声ばかりの安倍政治に国民の願いは託せません。
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