主張
TPP法案提出
国会決議違反、批准は許されぬ
安倍晋三政権が国民の反対を押し切ってアメリカなどとの交渉で合意、署名を強行した環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連一括法案が閣議決定、国会提出されました。TPPはコメや牛肉などの農産物を含め関税を原則として撤廃、輸入を拡大し、食の安全、著作権、雇用、医療などあらゆる分野で多国籍大企業に有利なアメリカ中心のルールを押し付けるものです。交渉参加にあたって国会が決議した重要農産品を除外するなどの原則を踏みにじっています。国会決議に違反した協定は国会の責任で批准を拒否し、関連一括法案も廃案にすべきです。
決議違反は否定できぬ
TPP交渉についての国会決議は、安倍首相が政権復帰直後の2013年3月、アメリカのオバマ大統領に求められて交渉に参加すると決めたあと、衆参両院の農林水産委員会が決めたものです。
「コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物などの農林水産物の重要品目について、引き続き再生産可能となるよう除外または再協議の対象とすること」「10年を超える期間をかけた段階的な関税撤廃も含め認めないこと」…。
国会決議はTPP交渉参加の撤回は盛り込みませんでしたが、すべての関税を原則として撤廃するTPPが日本の農業や農村に深刻な打撃を与え、国民生活にも大きな影響を及ぼすことへの国民の反対を反映したものです。TPPは日本の交渉参加から昨年秋の「大筋合意」まで、秘密交渉を繰り広げた結果、日本に全品目で95%、農林水産物で81%、重要5項目だけでも30%の品目の関税撤廃を押し付けるものになりました。文字通り関税撤廃の原則を貫き通し、国会決議を踏みにじっているのは明らかです。
TPPの協定と関連法案の国会提出を前にした参院予算委員会(7日)で日本共産党の紙智子議員が国会決議違反ではないかと追及したのに対し、安倍首相は「違反かどうかは国会で判断を」と答えました。国会が協定と関連法案を徹底審議し、決議に違反した協定を阻止することが重要です。
TPPが国会決議に違反することは、紙議員が追及したように、協定には国会決議が求めた重要農産品の「除外」という言葉さえ盛り込まれていないことだけでも明らかです。関税協定で「除外」するというのは、関税にかかわる約束の対象から除くということです。これまで日本が締結した経済連携協定(EPA)はすべて「除外」を規定しており、対象にはコメや麦など重要品目が入っています。
TPPについて安倍政権は「例外なき関税撤廃は条件にしていない」といいますが、「例外」と「除外」は違います。TPPは関税撤廃が原則で協定には撤廃を繰り上げる条文まであります。政府に国会決議を守る気がない決議違反の協定は批准阻止しかありません。
国際的にも批准は難航
国会で審議されるTPPは協定本文だけでも約3000ページ、関連一括法案は11法案に上ります。秘密で交渉し、膨大な協定と法案を突然提出して成立させようとすること自体、国会軽視の極みです。
TPPは日本とアメリカがともに批准しなければ発効しません。アメリカでも多くの大統領候補が反対しています。TPPゴリ押しの安倍政権に道理はありません。
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