主張
与党の消費税協議
暮らし破壊する増税中止こそ
自民党と公明党が2017年4月からの消費税率の10%への引き上げにあたって、飲食料品などへの「軽減税率」を導入するのか、財務省が持ち出した課税された増税分の一部を「還付」するのかの協議が難航しています。「軽減税率」の導入は自民・公明などが国民の反対を押し切って消費税の増税を決めた際持ち出してきたものでいわば事実上の公約です。「軽減税率」が導入されても昨年4月の8%への引き上げに続く消費税増税が、国民の暮らしを直撃し破壊するのに変わりはありませんが、公約すら守れないとなればいよいよ増税の根拠はなくなります。
自公は“公約”さえ守らぬ
自民・公明が公約した「軽減税率(複数税率)」の導入は昨年4月の8%への増税の際は間に合わず、増税の影響があまりに大きかったため15年10月から予定していた10%への再増税を17年4月に延期したさい、それまでには具体化し、間に合わせると改めて約束したものです。昨年12月の総選挙では公明党が、「いまこそ、軽減税率実現へ。」と大書したポスターを全国にはりめぐらせました。
自公両党はことし5月、「軽減税率」の対象を「精米」「生鮮食品」「酒類をのぞく飲食料品」の三つに絞った案を作成しました。しかし、精米だけでは効果が小さく、生鮮食品ではどこまで加工品を含めるのか不明で混乱が起きるなどの意見が出てまとまっていません。対象を広げ負担軽減の効果を出そうとすれば、代わりの財源が必要になります。だいたい、あらゆる商品とサービスが対象で低所得者ほど負担が重い消費税を増税し、その代わり一部の品目の税率を軽くするといっても効果は限られており、「軽減税率」の導入はとても消費税増税の悪影響を打ち消すものにはなりません。
困り果てた自公両党幹部が財務省に泣きついて出てきたのが、増税分の一部を「還付」する案です。麻生太郎財務相が記者会見で「複数(税率)にすることは面倒くさい」と明言したように、「還付」案は「軽減税率」導入の公約をあっさり投げ捨てたもので、複数税率の導入に反対してきた財界の意向をも受けたものです。
しかし、「酒類をのぞく飲食料品」に支出した金額の増税分(8%から10%への増税で2%分)を給付金の形で「還付」するという案では、消費者は買い物するごとに10%の消費税を負担させられるので、増税の痛税感は変わりません。しかも1人当たり年間4000~5000円の上限では増税分の埋め合わせにはとてもなりません。
そのうえ飲食料品にいくら使ったかは、来年初めから個人に配られるマイナンバーのカードに記録し、パソコンなどを使って給付を請求するというしくみも、大変な負担です。高齢者などにとても使いこなせる制度ではありません。
増税中止、必需品非課税
消費税の増税は国民の反対を押し切ったものであり、「軽減税率」の公約さえ実行できず、新たな負担の「還付」案を持ち出すのならいよいよ根拠がなくなります。
増税は中止すべきです。低所得者の負担軽減をいうなら、これまでの増税分はそのまま残る「軽減税率」などではなく、少なくとも食料品など生活必需品の非課税を検討すべきです。増税強行を許さない世論と運動が求められます。
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