4月29日 日本共産党幹部会委員長 志位 和夫
日本共産党の志位和夫委員長は29日、日米首脳会談について次の談話を発表しました。一、安倍首相とオバマ大統領は4月28日、ワシントンで首脳会談を行った。
安倍首相は、アメリカとともに「海外で戦争する国」づくりを推進する日米同盟の強化、沖縄・辺野古での米軍新基地建設の強行、日本の食と農を破壊し、経済主権を売り渡す環太平洋連携協定(TPP)の早期妥結など、安倍暴走政治のいっそうの推進を米大統領に約束した。しかし、これらはどれも国民多数が反対しているものであり、民意を無視した暴走政治を対米公約としたことをきびしく批判する。
一、安倍首相とオバマ大統領の日米共同声明は、新「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)が、「同盟を変革」し、「日本が地域のおよびグローバルな安全への貢献を拡大する」と強調している。
新「ガイドライン」は、集団的自衛権行使――米国などにたいする武力攻撃への共同対処を明記するとともに、地球規模で自衛隊が米軍に協力し、従来の「戦闘地域」まで行って、軍事支援をすることをうたっている。自衛隊が、イラク侵略戦争やアフガニスタン報復戦争のようなアメリカの戦争に参戦し、「殺し、殺される」戦闘を行うという憲法9条破壊の共同戦争計画を明記している。
このような「海外で戦争する国」への大転換を、国会での議論もないままに、まずアメリカに誓約するというのは、日本の独立と主権を蔑(ないがし)ろにする異常な対米従属の姿勢を示すものである。日本共産党は、新「ガイドライン」の撤回を強く求めるとともに、「戦争立法」の企てを阻止するために、党の総力をあげて奮闘する。
一、安倍首相は、沖縄の新基地建設問題で、「翁長知事は反対している」としながら「辺野古移設を唯一の解決策とする立場は揺るぎない」などと、沖縄県知事と県民の意思を無視して、あくまで強行することを強調した。
しかし、辺野古新基地建設反対、普天間基地閉鎖・撤去は、昨年の名護市長選、沖縄知事選、総選挙で、保革の枠組みを超えて、疑いようのない明確さで示された「オール沖縄」の総意であり、この総意を踏みにじって新基地建設を押しつけることは、断じて許されるものではない。
一、「共同声明」では、TPPについて、日米交渉で「大きな進展があったことを歓迎する」とのべ、両国が交渉をリードして、早期妥結を目指すとしている。日本政府はすでに牛肉・豚肉の関税の大幅引き下げを認め、残った論点はアメリカ産米の特別輸入枠の大幅拡大だけと伝えられているなど、安倍首相の「聖域を守る」という日本国民への公約は放棄されている。しかも、アメリカの国会議員には交渉中の条文案が公開されているにもかかわらず、日本政府は交渉内容の公開を拒否し続けている。国民に秘密にしたままで食料主権、経済主権を脅かし地域経済に大打撃となるTPPの早期妥結をはかることなど許されない。ただちに交渉から撤退することを強く求める。
一、「共同声明」は、日本国憲法はもとより、日米安保条約の枠組みさえこえて、「日米同盟」を「グローバルなパートナーシップ」にするとうたい、これが「今後数十年」――永久に続くかのように宣言している。
しかし、今日の世界の大勢を見れば、軍事ブロックの解体・機能停止がすすみ、それにかわって外部に仮想敵を設けない平和の地域共同体が世界各地で大きく発展している。日本共産党は、直面する熱い問題で一致点にもとづく共同を発展させながら、日米安保条約を廃棄する国民的多数派をつくりあげるために全力をあげる。従属の根源――日米安保条約を廃棄し、それに代えて日米友好条約を締結し、真の対等・平等・友好の関係をつくることにこそ、21世紀の日米関係の未来がある。
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