主張
辺野古沖掘削再開
政府に「法治」を語る資格ない
防衛省の沖縄防衛局が、米海兵隊普天間基地(沖縄県宜野湾市)に代わる新基地建設に向け、同県名護市辺野古沖での海底ボーリング(掘削)調査の再開を強行しました。半年ぶりとなる調査の強行は、知事選で新基地建設阻止を掲げた翁長雄志氏の圧勝後初めてであり、沖縄の民意を踏みにじる暴挙として断じて容認できません。
米国の圧力受け強行
今回の調査再開は、米国の圧力を背景にして沖縄県の意向を二重三重にじゅうりんして強行したという点で、あまりに異常極まるものです。
県は、沖縄防衛局が辺野古沖にフロート(浮具)などを設置するため投下した巨大コンクリート・ブロックがサンゴ礁を破壊していることが発覚したのを受け、ボーリング調査に必要な岩礁破砕許可の取り消しも視野に調査を進めていたところでした。そのため、県は米軍が管理する立ち入り禁止海域内での潜水調査を求めていましたが、米軍は11日、「運用の妨げになる」などというまったく理由にならない理由で拒否し、翌12日に沖縄防衛局はボーリング調査を強行したのです。
11日には、米海兵隊トップのダンフォード総司令官が辺野古の新基地建設の進展について、強い「懸念」を表明する異例の証言を米議会で行っていました。
新基地建設に向けた作業拠点となっている米海兵隊キャンプ・シュワブのゲート前で抗議行動のリーダーである山城博治氏らが不当逮捕された問題にからみ、米側から抗議行動排除の要請が再三にわたりあったことが明らかになっています。
今回のボーリング調査再開にも、米側の強い圧力があったことは疑いありません。
菅義偉官房長官は今回の調査再開について「一昨年に当時の(仲井真弘多)知事から埋め立て承認をもらって工事を行っている」「法治国家だから、粛々と進めていくのは当然のことではないか。全く間違ってない」などと開き直りました。とんでもないことです。
翁長知事は今、新基地建設阻止という知事選での自らの公約実現に向け、仲井真前知事による埋め立て承認に瑕疵(かし)がなかったかについて第三者委員会を設置するなど検証を行っている最中です。政府に対しては、検証の結論が出るまで新基地建設に向けた作業を中断するよう要請していました。
前知事が埋め立ての承認をしたといっても、その後、正当な選挙によって新基地反対の民意を代表した知事が生まれ、作業の中断を要請しているのですから、その声に応えて建設をいったん停止することこそ、「法治国家」の政府がとるべき当たり前の態度です。
ボーリング調査再開は米政府におもねり強行したものであり、安倍晋三政権には「主権国家」「民主主義国家」の政府としての資格もないと言わなければなりません。
運動と世論強める時
安倍政権が遮二無二に新基地建設に向けた作業を進めるのは、新基地反対の運動と世論に追い詰められていることの裏返しでもあります。翁長知事は今回の事態を受け「あらゆる手法を駆使して新基地を造らせないよう全力で取り組む」と改めて表明しました。新基地建設を許さない運動と世論をいっそう強め、広げる時です。