なか卯 タイムカードは理念唱和後
「ブラックな働かせ方がありとあらゆる職場に広がっている」
日本共産党の吉良よし子議員は6日の参院決算委員会で、若者に違法・無法な働かせ方を強いるブラック企業の実態を告発し、悪質な企業の社名公表を求めました。
吉良 手順最後にタイムカードは違法
厚労相 当然指導しなければ
吉良氏はブラック企業の違法な労働時間管理の典型として、丼物・うどんの外食店「なか卯」が行っている出勤時手順の確認テスト(図)を告発しました。
テストは「挨拶(あいさつ)」のあと、▽月間重点目標唱和▽連絡ノート確認▽経営理念唱和▽接客用語唱和▽出勤打刻(タイムカードを押す)▽着替え―の手順を問うもの。吉良氏は、首相に聞きました。
吉良 この職場でタイムカードを押すのは何番目だと思いますか。
安倍晋三首相 常識的には、職場に行った段階でタイムカードに打刻すると思う。
吉良 「正解」とされているのは一番最後です。
吉良氏が、着替えや理念唱和など一連の手順の最後にタイムカードの打刻をさせる「なか卯」のやり方を「明らかに違法」と告発すると、委員会室はどよめきが…。
吉良氏は「タイムカードを押すまでにやるように指示されている行為は使用者の指揮監督のもとに行われる行為で、明らかに労働時間だ」と指摘。塩崎厚労相も「義務付けられている行為ならば、労働時間にカウントされる」と認めました。
吉良 こうした事例は「なか卯」だけではない。ありとあらゆる職場に蔓延(まんえん)しています。直ちに根絶すべきです。
厚労相 そういうことがわかれば、当然指導しなければいけない。
すき家 経営幹部が是正勧告無視
吉良氏は、深夜にアルバイトの店員をたった一人で勤務させる「ワンオペ」など、劣悪な働き方が大きな社会的批判を浴びた「牛丼チェーン『すき家』の例をとりあげたい」と述べ、ブラック企業に対する社会的抑止力を強めることを提案しました。
吉良 悪質企業名公表を
首相 さまざま手段を検討
労働基準監督署は2012年度、13年度の2年間、同社に長時間違法残業、サービス残業、休憩時間を与えないなど104件62通もの是正勧告を発しました。にもかかわらず、経営幹部によって無視されつづけ、昨年7月にやっと「労働環境改善に関する第三者委員会」が調査報告書を公表しました。(別項)
吉良氏は、同社が重い腰をあげたのは、労働者の告発とマスコミ報道により社会問題化してからだと指摘。なぜすぐに改善に動かなかったのか問題提起しました。
吉良 (労基署の)勧告がもっと早く(企業名)公表に踏み切っていれば、(労働者に対して)被害が広がるのを避けられたのではないでしょうか。
首相 法令違反は元来あってはならない。今の話において、そういうときには労働基準監督署が監督・指導を厳しく行い、悪質な違反に対しては、司法処分を含め厳正に対処することが大切だ。
吉良氏は「『すき家』のように繰り返し是正勧告されている企業の名前を公表してほしいというのが労働者の願いだ。悪質な企業の公表をぜひ検討してほしい」と再三にわたり求めました。
安倍首相は「何回も勧告しているにもかかわらず応じていないのは相当悪質だと思う。さまざまな手段を検討していく必要もあるだろう」と答弁。塩崎厚労相も「ご意見は参考にさせていただく」と答えました。
派遣法改悪案再提出やめよ
吉良氏は、労働者派遣法改悪案が派遣先に課せられている「労働契約の申し込み義務」を削除している問題を告発。「今の規制ですら守られてないのに、それを取っ払うなんて僕にとっては絶望国家法案だ」と怒る派遣労働者の声を突きつけ、「若者に夢と希望ではなく、絶望を押し付けるような派遣法改悪案の今国会への再提出をあきらめるべきだ」と迫りました。
「調査報告書」で指摘された「すき家」の労働実態の一部
店舗勤務経験を有するほとんどの社員が、いわゆる「回転」(店舗において24時間連続で勤務すること)を経験していた。中には、恒常的に月500時間以上働いていた者や、すき家店舗における業務が多忙で2週間家に帰れないという経験をしている者も見られた。
「青年に応えた」
吉良氏と懇談の傍聴者
日本共産党の吉良よし子参院議員は6日、ブラック企業・ブラックバイト問題を取り上げた決算委員会での質問後、首都圏青年ユニオンの青年など質問を傍聴した人たちと懇談しました。
吉良議員は「タイムカードの打刻と労働時間の問題は、青年ユニオンの皆さんからの訴えがあったもの。これからも皆さんと連携して、追及していきたい」と語りました。
参加者からは「ブラック企業に対する行政指導が無視された問題も取り上げてほしい」「大臣に負けず論戦していて頼もしかった」と感想を述べました。
首都圏青年ユニオンの神部紅(じんぶあかい)委員長は「ひどい働かされ方をしている青年から託された問題を示し、現場の期待に応える質問でした。これからも国会議員と連携して、現場から声を上げたい」と述べました。