主張
選挙後の安倍政権
民意聞かない暴走を続けるな
総選挙結果を受け15日記者会見した安倍晋三自民党総裁(首相)が、「この道しかない」との訴えが「支持された」とのべ、経済政策だけでなく安保・外交や原発、憲法などでも、自らの政策を推進する考えを明らかにしました。安倍氏が選挙中繰り返した「この道しかない」という主張自体国民の声に耳を傾けようともしない独善的なものですが、経済政策だけでなく総選挙でまともに主張もしなかった集団的自衛権の行使容認や改憲まで“信任”されたとして加速しようというのは、まさに言語道断です。安倍政権の暴走に対するたたかいがますます重要です。
“信任”も白紙委任もない
総選挙の結果が、安倍政権の政策を積極的に“信任”したものでも、「白紙委任」を与えたものでもないのは明らかです。首相は「アベノミクス解散」と名づけて解散・総選挙に打って出ました。自民党が獲得した議席は前回当選者数も改選時の議席数も下回り、与党の公明党とあわせてようやく議席を維持したにすぎません。投票率は史上最低の52・66%まで下がり、自民党の得票率は有権者全体では比例代表で16・99%、小選挙区でも24・49%にすぎません。国民のなかでの自民党と安倍政権への支持は圧倒的少数です。
それにもかかわらず国民の“信任”を得たという安倍氏は、ひきつづき「経済最優先」で、「アベノミクス」を推進するといいます。しかしこの主張は、「アベノミクス」がすでに行き詰まり、国民の暮らしと日本経済の立て直しに結びつかないことが明らかになっているのに、その経済実態さえ見ようとしない不当なものです。
「アベノミクス」のもとで国民の経済格差は拡大し、勤労者の実質賃金はすでに16カ月連続で前年を下回ります。国内総生産(GDP)は2期連続でマイナスになりました。開票翌日、日銀が発表した短期経済観測(短観)では、大企業も中小企業も今後の見通しに不安をつのらせています。「この道しかない」と「アベノミクス」を進めるのは、まさに暴走です。
安倍氏が集団的自衛権の行使容認はすでに7月の閣議決定で決めたことだからと来年の国会での法整備を「実行する」といい、改憲についても自民党の結党以来の主張だからと「総裁として努力していく」とのべたのは、まさに国民の意向などどうでもいいという態度です。集団的自衛権の行使容認についても改憲についても、安倍氏から選挙中説明らしい説明はありません。それを進めようというのは独裁政治そのものです。
安倍氏は沖縄県民が新基地建設に反対する候補をすべての小選挙区で当選させ県民の意思を改めて示したことについてさえ、建設推進の姿勢を変えようとしません。「この道しかない」態度は、暴走以外のなにものでもありません。
「別の道」が求められる
今回の総選挙で安倍政権に正面から対決し、国民の「暮らし第一」の経済政策でも、話し合いで紛争を解決する外交政策でも、対案を対置した日本共産党が議席を増やし、画期的に躍進しました。国民が「この道しかない」と考えているのではなく、「別の道」を求めているのは明らかです。
安倍政権の暴走を阻止するためにも「別の道」を広げ国民と共同することがいよいよ重要です。