主張

自民党総選挙公約

「先送り」増税掲げる厚顔無恥

 総選挙の公示(12月2日)を目前に各党の公約がほぼ出そろうなかで、自民党の総選挙公約(政権公約)は、消費税の再増税を2017年4月に行うことを明記し、「景気回復、この道しかない」と、「アベノミクス」の推進を主張しています。今年4月からの消費税増税で深刻な「増税不況」を引き起こし、来年10月に予定した再増税が延期に追い込まれた失政の反省はありません。なぜ「アベノミクス」を続ければ景気が回復し再増税できるのかの説明もありません。まさに厚顔無恥、傲岸(ごうがん)不遜としかいいようのない公約です。

「増税不況」は明らか

 安倍政権が、自民、公明、民主の3党合意で決めた今年4月からの消費税率5%から8%への引き上げを強行した結果、ただでさえ実質収入減で落ち込んでいた消費をさらに冷え込ませ、日本経済を悪化させたことは明らかです。国内総生産(GDP)は増税直後の4~6月期の年率7・3%の減少に続いて7~9月期も1・6%の減少と2期連続の後退となり、安倍首相は来年10月からの税率8%から10%への増税延期に追い込まれました。自民党が総選挙公約で再増税を持ち出すのなら、まず失政の責任を反省すべきです。

 自民党の公約では消費税の増税を「2017年4月に行います」というだけで、「増税不況」への反省の一言もありません。増税を延期しても国民の負担が軽くなるわけではありません。自民・公明両党は、一部の税率を低くする軽減税率の「2017年度からの導入を目指す」としていますが、税率も対象品目も決まっていません。まったく絵に描いた餅です。

 増税延期については民主党も公約に盛り込んでいますが、延期したからといって3党合意で増税を強行した責任は免れません。自民、公明の与党とともに、民主党の責任もきびしく問われます。

 自民党は、「景気回復、この道しかない」といいますが、「アベノミクス」を続ければ景気が回復するのか。「アベノミクス」は異常な金融緩和などで株高と円安を引き起こし、大企業のもうけが増えれば賃金や設備投資が増え、消費も盛り上がるというシナリオでしたが、円安で物価が上がっただけで賃金は上がらず、実質収入が減って、消費は逆に落ち込みました。「アベノミクス」を続けて景気がよくなるはずはありません。

 自民党公約が、消費税は全額「社会保障の財源」にするとか、「経済再生と財政健全化を両立する」などとしているのはなんの根拠もありません。消費税が増税されても、年金、医療、介護など社会保障改悪のオンパレードです。暮らしがよくならなければ税収も増えません。自民党公約は、破綻済みの政策を並べただけです。

消費税に頼らない道を

 いま必要なのは、消費税増税を「先送り」するだけでなく、きっぱり中止するとともに、消費税に頼らない道に転換することです。日本共産党は総選挙政策で、(1)富裕層や大企業への優遇を改め「能力に応じた負担」の原則を貫く税制改革、(2)大企業の内部留保の一部を活用し、国民の所得を増やす経済改革―で、財源を確保する方途を明らかにしています。消費税の増税中止にも、暮らしを守り経済を立て直すにも、この日本共産党の躍進が不可欠です。