「しんぶん赤旗」

北東アジアの平和と協力、歴史問題/志位委員長の講演に熱心な質問/韓国の若い世代も日本共産党に注目/高麗大学で

2014/10/29 11:36 投稿

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25ffb6e0cca954997daf9571c4cf0b3366aed840 「北東アジアにかんする新しいストーリーを語ってくれた」、「こんな政党が日本にあったとは知らなかった」――27日にソウルの高麗大学でおこなわれた日本共産党の志位和夫委員長の講演会「北東アジア平和協力構想を語る」。キャンパスには告知の横断幕や看板が出され、会場の大学百周年記念館内の国際会議場には、立ち見も出る200人以上の研究者、学生、市民、日韓の記者が集まりました。

地域の未来をともに考え心の通う交流に

 日本共産党の「構想」の目標・原則とその現実性、安倍政権への批判的立場を詳しくのべた1時間余りの講演の途中には拍手や笑いも起こり、その後は感想をのべ質問を求める手が次々挙がりました。質疑応答は予定した30分の2倍以上となり、北東アジアの未来をともに考え、心の通う交流になりました。

 冒頭、高麗大学の研究者の一人は、「志位委員長のアイデアに感謝する」とのべつつ、「2年以上も日中韓の首脳会談が開かれない状況で、北東アジア版の友好協力条約(TAC)は難しいのでは」と質問しました。

 これに対し志位氏は、「一番の問題は日本の歴史問題で、それは日本国民の課題として取り組まねばなりません。歴史問題を解決し、政治的な意思があれば『構想』は実現できます」と強調。同時に、「できるところから、できる国から始める」として、「一挙にTACの締結までいかなくても、それをめざす政治宣言をあげるなど、段階的に進めることも可能ではないでしょうか」と提起し、「知恵を出し合い、前に向かいましょう」と呼びかけました。

51ede826473b68b5c65a6193e854bb184c07ee8f 別の研究者は、「構想」を実現するために日本共産党がどういう役割を果たすのか、と質問。志位氏は、「安倍首相は『構想』を否定はしなかったが、賛成もしませんでした。まず、日本政府の姿勢を変えたい」と回答。そして「何より『構想』を国民多数の合意にする必要があります。そのためにも、昨年の都議選、参院選での党の躍進をさらに続けたい」と決意を表明しました。質問者は、「日本共産党が政権につけば解決するということですね」と応じ、なごやかな拍手が起こりました。

平和協力構想――日韓の学生のみなさんが議論できれば

 大学のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の運営に携わる学生は、「日本の学生たちはどう考えているのか」と質問。志位氏が、「日本国民は何よりも対話でこの地域の問題を解決したいと願っています。私たちの『構想』は若い人たちの支持も得られると思います。この方向で日韓の学生のみなさんが議論できれば、こんなうれしいことはありません」とのべると、会場からは拍手がわきました。

 元日本軍「慰安婦」の女性たちが共同で暮らす「ナヌムの家」の所長は、「彼女たちが生きている間に日本の公式の謝罪と賠償は実現するでしょうか」と問いかけました。

 志位氏は、「絶対に解決しなければなりません」と強調し、25日の日韓・韓日議員連盟総会に言及。総会が「当事者の名誉回復と心の傷をいやす措置をとる」、「河野、村山談話の精神にふさわしい行動をとる」の2点が入った「共同声明」を全会一致で採択したことを紹介し、「重要な前進です」とのべました。

「広い視野を持つ構想。こんな政党、日本にあるとは」と反響

 日本の過去の侵略戦争と植民地支配を美化し歴史を偽造する勢力への批判を明確にのべた講演と質疑応答には、「あなたのような活動をしている人の身の安全は大丈夫か」との声も。これには志位氏も笑いながら、「今年3月に『慰安婦』問題での見解を発表しましたが、その後ただの一言も右派勢力からの反論はありません」と紹介。「『河野談話』の否定派は自らの狭い世界でしか通用しない話をしているだけです。彼らに未来はありません」と強調し、これからも必要な批判と態度表明を行うとのべました。

 講演の終了後は、会場入り口で志位氏の2冊目の韓国での著書『新たな躍進の時代をめざして』のサイン会がおこなわれ、学生とともに教授もずらりと列に並び、人だかりができました。日本への留学経験のある若い研究者は、「初めて聞く話だった。韓国のニュースは安倍首相のことばかり。歴史についてきちんと語る人がいるとは」と驚いた様子。日本の政治に興味があるという学生は、「こんな広い視野を持つ構想を出す政党があり、国会にも議席があるとは知らなかった」と話しました。

 (田川実・党国際委員会事務局長、写真は中祖寅一)

 東南アジア友好協力条約(TAC) 東南アジア諸国連合(ASEAN)の安全保障構想の土台となっている条約。1976年に調印。主権尊重、紛争の平和解決、武力行使の放棄を明記しています。現在では57カ国、世界人口の72%が参加しています。

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