安倍晋三首相は、内閣改造で閣僚や党幹部への女性起用について「過去最多」「日本の政治の風景も変わる」などと売り込んでいます。しかし、その“目玉閣僚・幹部”らと反社会的な団体関係者との親密な関係が次々浮上。国内外から政権への不信を呼びおこしており、安倍首相の任命責任が問われます。(北野ひろみ)

 高市早苗総務相と稲田朋美・自民党政調会長は、ナチスの思想を信奉する極右団体代表と議員会館でツーショット写真の撮影に応じていました。山谷えり子国家公安委員長は、在日韓国・朝鮮人に対するヘイトスピーチ(憎悪表現)を繰り返す「在日特権を許さない市民の会」(在特会)との親密な関係などが問題になっています。

厳しい世界の目

 当人たちは「どういった人物か不明だった」(高市氏)「素性や思想はもちろん名前すら把握していない」(稲田氏)「在特会関係者だとは知らなかった」(山谷氏)などと釈明していますが、各国のメディアは「安倍首相が、日本政界の右翼的人物でますます周辺を固めているとの見方を強めることになる」(フランス通信、8日)と厳しい目を向けています。

 欧州では、政治家がネオナチとの交流が明らかになっただけで辞任を余儀なくされるほどの大問題です。ドイツではナチ戦犯に時効はないとされ、永久訴追でいまでも裁かれています。

 在特会が朝鮮学校周辺で行った排外的な街頭宣伝は京都地裁、大阪高裁が続いて断罪。国連の人種差別撤廃委員会からもヘイトスピーチに対して、差別を助長するすべての宣伝を禁じ、犯罪者は罰するように勧告がだされています。

同じ日本会議系

 ところが安倍首相は、これらの問題について黙認。高市、稲田、山谷各氏に対しても何ら説明を求めようとしていません。任命責任者としてまったく無責任です。

 安倍首相をはじめ高市、稲田、山谷各氏はいずれも、日本の侵略戦争を肯定・美化する改憲・右翼団体「日本会議」を支援するためにつくられた「日本会議国会議員懇談会」の主要メンバー。安倍首相自身、「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」が持論です。高市、稲田、山谷各氏の問題を不問にすることは、安倍首相自らが3氏と同じ考えに立っていることを示すものです。