消費税10%・社会保障削減・原発再稼働狙う
政府の経済政策の「司令塔」である経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は16日、財界トップである経団連の榊原定征(さかきばらさだゆき)会長が民間議員として加わった新たな陣容で改造内閣発足後の初会合を開きました。企業団体献金のあっせん再開に続き、小泉内閣時代を思い起こさせる政府と財界の一体化ぶりです。
経済財政諮問会議は首相、経済・財政担当閣僚のほか、財界人や学者ら4人の民間議員で構成されます。経団連会長が民間議員に就任するのは御手洗冨士夫元会長以来、6年ぶり。榊原会長は今月、経団連が企業献金への関与を再開する方針を決定。カネも口も出すことで、“カネで政治を買う”露骨な政策買収に乗り出しました。
「稼ぐ力」強調
大企業からはこのほか新浪剛史(にいなみたけし)サントリーホールディングス次期社長が民間議員に就任しました。新浪氏は政府の産業競争力会議の民間議員を務め、大企業の利益に沿って雇用や農業の「規制改革」を提言してきました。
16日の会合で民間議員は「企業の稼ぐ力」を強調。労働移動の促進や「多様な正社員」化、年功序列型賃金の「是正」を求めました。不安定雇用の拡大に拍車をかけるものです。国・地方財政の「健全化」も要求。消費税の再増税や社会保障のいっそうの切り捨てに道を開くものとなっています。政府、財界、労働界でつくる、景気回復についての政労使会議を再開することも確認しました。
また、企業経営者やエコノミストなどの「政策コメンテーター」から集めた経済情勢や政策課題に関する意見も報告されました。原発の早期再稼働を求める意見が出されました。消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減については「緩やかな回復傾向」にあるとしています。
悪政の司令塔
2001年に発足した経済財政諮問会議は、小泉政権時代、「構造改革」の司令塔として貧困と格差を広げました。当時、民間議員だった経団連の奥田碩(ひろし)会長と二人三脚で「構造改革」を推進し、その後、国民からの厳しい批判を受け自民党政権は崩壊。諮問会議は、自民党政権崩壊の象徴的存在でした。
諮問会議の民間議員に経団連会長自ら就任したことで、安倍政権と財界の一体化はますます強化されます。諮問会議を舞台に、消費税率10%への引き上げ、法人実効税率の引き下げ、社会保障の削減、原発の再稼働・輸出など財界の要求に沿った政策づくりが強まります。
大企業本位政策を推進
内閣改造後初めて開かれた16日の経済財政諮問会議には、新たに経団連の榊原定征(さかきばら・さだゆき)会長が民間議員として参加しました。家計に負担を押し付ける一方、大企業本位の経済政策を政財界一体で推進しようとしています。 (金子豊弘)
安倍晋三政権の経済政策である「アベノミクス」の応援団である経団連は、「今こそが、日本復活に向けた最大かつ最後のチャンス」と位置付けています。「世界で一番企業が活動しやすい国づくり」を目指している安倍政権こそ、財界にとっては利用価値がもっともある政権というわけです。
経団連は10日、消費税率10%への引き上げと法人実効税率の引き下げを求めた「税制改正」提言を発表。さらに、5年ぶりに企業献金への関与を再開し、会員企業や業界団体に献金を促すことを正式に決めました。企業献金は受け取る側の政党にとって、いわば「筋肉増強剤」です。自民党に、この「筋肉増強剤」を注入し、財界・大企業本位の政策推進を目指します。
今回、経済財政諮問会議の議員に就任した榊原会長は、これまで産業競争力会議の議員を務めてきました。産業競争力会議は、閣議決定が設置根拠となっている日本経済再生本部の下部組織にすぎません。
一方、経済財政諮問会議は、内閣府設置法に基づいた会議です。会議の目的は「経済全般の運営の基本方針、財政運営の基本、予算編成の基本方針」について「調査審議すること」です。榊原会長は、政府内の格上の組織に身を転じ、いよいよ経済・財政政策づくりの中枢に座ったことになります。
同会議の下に新しく設置された政策コメンテーター委員会に意見を提出するメンバーには、経団連事務方トップの久保田政一事務総長が任命されています。経団連としては、安倍政権を「最大限バックアップする」(榊原会長)布陣を敷いた形です。
今後、諮問会議を舞台に、さらなる財界本位の政策が実行されれば、国民との矛盾がさらに広がることは必至です。
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