規正法違反の疑い
化粧品会社DHCの吉田嘉明会長から計8億円もの借り入れをした「みんなの党」の渡辺喜美前代表を政治資金オンブズマン共同代表の上脇博之神戸学院大学教授ら16氏が2日、政治資金規正法、公職選挙法に違反する疑いがあるとして、東京地検特捜部に告発しました。
告発状は、8億円のうち、2012年12月の総選挙直前の5億円について、党代表(当時)の渡辺氏が吉田氏に、「衆院選の公認候補は60人になりました。手持ち資金が5億円ありますが、あと5億円ほど必要になります」と要請していると指摘。借り入れ経過や5億円という巨額の金額などからみて、「党の選挙運動」と「党首の政治活動」のために借り入れた資金であったと思われるとのべています。
5億円のうち、2・5億円は当面の総選挙に支出され、残りの2・5億円について、同党の調査チームの報告書が「政界再編にあたっての突然の出費に備えて軍資金として留保していたもの」としていることにふれ、政治資金規正法の虚偽記載罪にあたるとしています。
また、残りの2・5億円が、栃木県第3小選挙区における渡辺氏の選挙運動資金として借りたものなら、同氏の選挙運動費用収支報告書に「吉田嘉明から2・5億円の借入金」などと記載する必要があり、公選法の不記載罪に該当するなどとしています。
同党調査チームの調査結果で、何に支出されたか、真相が不明とされた渡辺氏約5500万円、妻約3500万円についても、党や渡辺氏の政治活動に使われていた場合、規正法違反罪が適用されるとしています。
告発状は、「高額の政治資金が将来の政界再編のための軍資金として、会計責任者にも知らされないまま裏金として党の“裏口座”で保管されていたことが判明した」事実は「重大である」と批判。渡辺氏が疑惑発覚後、処罰を免れるために「個人的な借入金であり、選挙運動にも政治活動にも支出していない」などと強弁してきたことを「責任回避態度も悪質」と強調し、徹底的に捜査を尽くすよう求めています。
借入金問題について、みんなの党の調査チームは4月24日、「政治資金規正法違反、公選法違反の事実は認められなかった」と結論づけましたが、今回の告発によって、同党の姿勢も厳しく問われることになりました。
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