主張
消費税増税1月半
過小評価は再増税するためか
消費税の税率を、17年ぶりに5%から8%に引き上げた増税から1カ月余り―。政府や財界、一部のマスメディアは、「増税の影響は想定内だった」「落ち込みは一時的だ」という宣伝に躍起です。しかし、増税が強行されて約1カ月しかたたず、その影響はいよいよこれから現れるというのに、「想定内」も「一時的」もあったものではありません。こうした消費税増税の影響を過小評価するような宣伝は、来年10月から税率を10%に引き上げる再増税に道を開くことを狙った危険なものです。
「街角景気」は大幅悪化
消費税が増税されて以降、客足が途絶えた。新しい商品を投入し、品ぞろえを変え、売り上げを維持するのに必死になっている―街の中小の商店では、増税の影響を何とか切り抜けようと懸命です。内閣府が「街角景気」と称して発表している景気ウォッチャー調査でも、4月の景気の現状判断DIは41・6(5段階で評価しそれぞれ点数をつけて計算、50が好不況の分かれ目)と、3月に比べ16・3ポイントも悪化、50を割り込んで2カ月ぶりの低下となりました。
4月は、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連と、すべてのDIが低下しました。下落幅は東日本大震災が発生した2011年3月以来の大きさです。駆け込み需要の影響があったことを考えても、増税後の販売や生産の低下による落ち込みは明らかです。
原則としてあらゆる商品の販売やサービスの提供に課税され、新たに3%の税率を価格に上乗せすることになる消費税増税は、暮らしに打撃を与え、消費を冷え込ませ、売り上げを減少させます。食料品など生活必需品にも課税されるため、低所得者ほど負担が重くなる逆進性は深刻です。その打撃を「想定内」だの「一時的」だのと過小に見せようとは、なんと国民に冷たい態度か。
一部のマスメディアなどの世論調査は、大企業を中心にした企業のアンケートをもとに「減速『一時的』」などと伝えていますが、増税分を値上げに転嫁して大企業はもうけを回復しても、国民の所得が増税に見合って伸びなければ、暮らしは悪化します。それでなくても安倍晋三政権がすすめる「アベノミクス」で円安が進み、物価は上昇しています。経済の「好循環」がいわれていますが、大企業のもうけは増えても、労働者の収入は増えていません。厚生労働省の統計では、労働者の所定内給与は丸2年にわたって減り続けています。物価の上昇と収入の伸び悩みに増税が加われば、暮らしが悪化するのは目に見えます。
再増税やめさせるために
大企業でなく、国民を対象にした世論調査では消費税増税の影響がくっきり現れています。消費税増税で家計のやりくりが「非常に厳しくなった」が16%、「少し厳しくなった」が43%(NHK調査)、負担増を「非常に感じている」が24%、「多少は感じている」が54%(「読売」)―。国民の実感は「想定内」どころの話ではありません。
安倍政権は消費税増税の打撃を「一時的」と思わせ、年内には来年10月からの再増税実施を決めようとしています。しかし、再増税反対は「読売」調査でも66%。国民の圧倒的な世論に応え再増税をやめさせるためにも、増税を過小評価させるわけにはいきません。
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