主張
「こどもの日」
批准20年の権利条約生かして
今日は「こどもの日」、「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかる」日です。今年は日本が子どもの権利条約を批准してからちょうど20年にあたります。子どもが大切にされ、幸せにすごせる社会にするために、権利条約を生かす取り組みが求められています。
認められ成長する
子どもの権利条約は国際的な人権尊重の流れの中で、25年前の1989年11月に国連で採択されました。子ども(18歳未満)を独立した人格として尊重し、成長・発達の過程で特別な保護を受ける権利を保障するとともに、子どもにも市民的権利があることを認めています。条約は、子どもにかかわるすべての措置をとる際に、子どもの「最善の利益」を考えることを定め、子どもが自分にかかわるすべてのことに意見を表明する権利を保障しています。
日本でもこの間、子どもの意見を学校づくりなどに反映させる、さまざまな取り組みが広がりました。各地の高校などでは、生徒・保護者・教職員による三者協議会や地域住民を加えた四者協議会を設け、校則や授業など「どんな学校をつくるか」「どんな地域をつくるか」を話し合い、実行することが行われています。生徒たちは自分の意見をおとなに伝え、受け止められる体験を通じて、「対等に扱ってもらえる」「存在を認めてもらえる」と感じ、成長しています。
家庭・学校・地域などあらゆる場で子どもの声に耳を傾け一緒に考えることを広げたいものです。
一方で、批准から20年たっても日本の現状は権利条約に照らしてまだまだ立ち遅れています。
条約は子どもに生存・発達や十分な生活水準を保障すること、虐待・放任からの保護をうたっています。日本では1年間の虐待相談件数は約6万7千件(2012年度)に上っています。いじめや体罰をめぐる事件も後を絶ちません。貧困と格差が広がるもと子どもの6~7人に1人が貧困状態にあります。真剣な解決の努力が求められる問題です。
条約では、父母が働いている子どもに国が保育の措置をとることを求めています。保育所の待機児童が数万人にも上っている現状は、国の責任で一刻も早く解消されなければなりません。
国連子どもの権利委員会は条約に基づく日本への3度の勧告で、子どもたちが過度な競争にさらされているとし、改善を求めました。10年の第3回勧告は「高度に競争主義的な学校環境」が「いじめ、精神的障害、不登校・登校拒否、中退および自殺の原因となることを懸念する」とのべています。
安倍晋三政権は勧告に逆行し、全国学力テストの学校別の結果を自治体の判断で公表できるようにするなど、競争を強めようとしています。子どもを苦しめる教育政策は根本から改めるべきです。
教育委員会制度の改悪や侵略戦争美化の「愛国心」教育の押し付けは、子どもにとって大問題です。子どもを戦場へ送る教育にしようという安倍政権のたくらみを許さない共同を広げましょう。
温かなまなざしで
子どもたちが豊かな日々を過ごし、将来への希望を持てるよう、温かなまなざしで子どもを見つめ、権利条約を生かした政治・社会を実現していく取り組みを強めようではありませんか。
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