日本共産党の志位和夫委員長は2日、ラジオ日本の「岩瀬恵子のスマートNEWS」に生出演し、消費税増税、「政治とカネ」、日本軍「慰安婦」問題、集団的自衛権行使容認の解釈改憲などについてアナウンサーの岩瀬氏と語り合いました。

消費税
いま大増税ストップの声をあげるとき

 岩瀬氏は、1日からの消費税増税について「政府広報は増税分は社会保障に使うと盛んに宣伝しているが」と問いかけました。

 志位氏は「政府の説明でも、増収分のうち社会保障の充実に使うのはわずか1割です。しかも年金は去年下がり、今年も下がる。介護保険はどんどん切り下げられる。医療費も今日から70歳になった方の窓口負担が1割負担から2割負担になる。給付が減り負担が増えるという話ばかりです」と強調。消費税増税と社会保障の負担増・給付減を合わせて年間10兆円もの負担を押し付けるもので、「増税分を社会保障に全額使う」との宣伝はうそだとのべました。

 その上で、「国土強靱(きょうじん)化」の名による無駄な巨大開発に加え、復興特別法人税の1年前倒し廃止などの大企業減税が強行されるとのべ、「庶民から吸い上げたお金を大企業減税と巨大開発、軍事費に使う。これが正体です」とのべました。

 岩瀬氏は一部大企業がベースアップを決めたが、「世論調査でも7割以上が景気回復を実感していない」として、「私はフリーランスなので、最後の最後にアベノミクスで景気がよくなるのを実感するのかと待っている間に、もう消費税が上がってしまった。“苦しいな”と思っている人はたくさんいるのではないか」「野党の力が弱くなり、与党ベースでどんどん進む。このままでは(消費税)10%も来年くるのか」と質問。

 志位氏は「消費税を上げたことをきっかけに、財政の蛇口が緩み、開いてしまって、どんどん無駄遣いが始まっている。こういう道を進むと、際限のない『増税地獄』に引き込まれることになります。今声をあげることが大切です。消費税大増税路線ストップ、10%などとんでもないという国民の声を大いに起こして、この動きに待ったをかけていきたい」とのべました。

「8億円」問題
渡辺氏とみんなの党は説明責任果たせ

 みんなの党の渡辺喜美代表の化粧品会社・DHCの会長からの8億円の「借金」について岩瀬氏は「有権者にとっては、また『政治とカネ』かという印象が強い」と述べ、「熊手」購入を借金の理由にあげた渡辺氏に強い不信感を示しました。

 志位氏は、8億円のうち3億円は2010年参院選挙の直前に、5億円は12年の総選挙の直前に借りたもので、「どう考えても選挙に使ったというのが自然です。そうなると公選法違反という可能性もあります」とのべました。

 その上で、化粧品やサプリメントなどを扱う同社の会長が一貫して規制緩和を主張してきたとして、「規制緩和の急先鋒(せんぽう)がみんなの党ですから、何らかの見返りを期待していたのではないかということも問題になってきます。渡辺氏とみんなの党は国民への説明責任を果たすべきです。こういう問題で政治不信を広げることはもうやめにするべきです」と主張しました。

集団的自衛権
海外の戦争への「歯止め」を外す

 集団的自衛権行使のための憲法解釈の変更問題に「安倍総理はかなり意欲があるようだが」と岩瀬氏。

 志位氏は、「これ(集団的自衛権行使容認)は一言でいうと海外の戦争への『歯止め』を外してしまおうということなんです」とズバリ。

 アフガニスタン戦争やイラク戦争への自衛隊派遣の特措法には“武力の行使をしてはいけない”“戦闘地域に行ってはいけない”という憲法9条にもとづく「歯止め」があったと指摘。集団的自衛権の行使容認とは、この「歯止め」を外すことであり、「『海外で戦争する国』につくり変えようというのがことの本質です。これは絶対に許されないことです」と訴えました。

 9・11事件を「武力攻撃」とみなした米国がアフガン戦争を起こすと、北大西洋条約機構(NATO)が集団的自衛権を発動して参戦した結果、欧州諸国の兵士にも多くの死者が出たと強調。集団的自衛権行使が認められていたら、自衛隊も戦争に行っていた可能性があると自民党幹事長も自著で認めていることを示し「そこに道を開いてしまうのが一番の現実の危険です」とのべました。

 さらに「立憲主義の否定になる」として反対する声が与党内からもあがっていることを指摘。「集団的自衛権行使容認への解釈改憲は、憲法9条を実質的に削除することと同じ効果をもたらします。もしそんなことを許したら、憲法が憲法でなくなります」と強調しました。

日本軍「慰安婦」問題
日韓請求権協定にもとづく解決を

 岩瀬氏は、志位氏が3月14日に発表した日本軍「慰安婦」問題の「見解」に触れ、同問題が「かなりホットな話題になっているが」と問いかけました。

 志位氏は、「慰安婦」制度への軍の関与を認め謝罪した「河野談話」(1993年)は「二つの意味で強制性があったと認めた」と指摘。一つは「慰安所」における「性奴隷」としての強制使役であり、二つ目は「慰安婦」を集める過程で強制性が働いたこと―本人の意思に反して「慰安婦」とされたことだと説明。「これを今になって見直して事実上反故(ほご)にする動きはとんでもない」と強調しました。

 その上で、「安倍首相は『見直さない』というんですが、『河野談話』の『検証をする』というわけです。『見直さない』といいながら『検証する』というのは矛盾です。本当に『見直さない』なら『検証』など必要ありません」とのべました。さらに、「首相の側近といわれる人が公然と『見直し』を発言する。そうすると、ここに首相の本音があるのではということになります」と批判しました。

 志位氏は、生存している元「慰安婦」が限られており、解決は「差し迫った問題だ」と指摘。「日韓請求権協定は紛争問題が起きたら外交ルートで話し合うと定めています。問題解決のための話し合いを日本と韓国との間で行う必要があります」とのべました。

安倍改憲
思い通りにはいっていない

 岩瀬氏は、「国会では数の上でも与党がかなり優勢だ」と述べ、武器輸出禁止三原則の撤廃に続き、解釈改憲の動きを強める安倍政権に、後半国会でどうストップをかけるのかと問いかけました。

 志位氏は、「国民のたたかい、国民の運動、国民の世論との協力が一番大事です」と表明。「憲法の問題でも、たしかに相手(安倍政権)は一気呵成(かせい)にやっているように見えますが、実はうまくいっていないんですよ」と指摘し、つぎのようにのべました。

 「安倍首相は、最初は、憲法9条そのものを変えることを一直線にやろうとした。しかし、それではうまくいかない。そこで次は憲法改定の手続き緩和のために96条改定を持ち出した。しかし、これにたいしても『邪道だ』との批判が広がり頓挫しました。そういう流れの中で、集団的自衛権行使容認を解釈改憲でやってしまえという動きになっているわけです。ところが、これにたいしても歴代の内閣法制局長官や元自民党幹部などからも『立憲主義の否定』との批判がわきおこっている。相手の側も、うまくいっているわけではないんです。むしろ一つ一つが失敗し、追い詰められているという面もある。追い詰めている力というのは国民の世論の力です。この流れをよくみて、国民の世論をさらに広げて、こういう危険な道をやめさせていくということで頑張りたい」