主張
武器禁輸原則撤廃
「死の商人」の仲間入りやめよ
安倍晋三内閣は来週にも、武器輸出を原則禁止している現行の「武器輸出三原則」を撤廃し、新たに武器輸出方針を示す「防衛装備移転三原則」を閣議決定しようとしています。
現行の三原則は、「国際紛争等を助長することを回避する」(1976年2月27日、政府統一見解)との基本理念の下に確立し国民の間に定着してきました。時の政府の一存で勝手に変えられるような単なる政策ではありません。
原則解禁へ大転換
現行三原則は、政府自身が認めてきたように、「憲法の平和主義の精神にのっとったもの」(81年2月20日、衆院予算委、角田礼次郎内閣法制局長官)として、国のあり方を縛る規範となってきました。その撤廃は、憲法に基づく平和国家の理念を否定するものです。
政府が与党に示した「防衛装備移転三原則(案)」の「概要」によると、三原則のうち第一の原則で、武器輸出を禁止する場合を「明確化」するとしています。
ところが、輸出を禁止する対象は、▽日本が締結した条約などの国際約束に違反する場合▽国連安全保障理事会決議に違反する場合▽国連安保理がとっている制裁措置の対象国への輸出となる場合―だけです。武器輸出大国である米国やロシアなども含め国連加盟国であれば当然順守すべきことが書かれているにすぎません。実態は、武器輸出の「原則禁止」から「原則解禁」への大転換となります。
「概要」は、第二の原則で、輸出を認める場合を「限定」するとしています。しかし、輸出を認めるのは、平和貢献・国際協力の積極的な推進と日本の安全保障に資する場合と、極めて抽象的な規定です。政府の恣意(しい)的判断がいくらでも可能です。
「概要」は、日本の安全保障に資する場合の例として、「わが国との間で安全保障面での協力関係がある諸国」との「防衛分野における協力の強化」などを挙げています。日本共産党の井上哲士議員は、安倍首相が昨年4月から今年1月にかけての外遊(15回)に軍需企業のべ32社を同行させ、訪問国との間の「防衛交流」などで合意していることを告発しました(12日、参院予算委)。今後、首相を先頭にしたトップセールスとして日本製武器の売り込みに拍車がかかることは明らかです。
第三の原則は、輸出した武器の目的外使用・第三国移転の「適正管理」です。日本の事前同意を義務付けるとしていますが、「部品等を融通し合う国際的なシステムに参加する場合」などは例外扱いです。米国中心に国際共同開発し、日本も部品提供をする最新鋭戦闘機F35を、周辺国と軍事衝突を繰り返すイスラエルに輸出することも黙認する重大な内容です。
戦争する国づくり
「武器輸出三原則」の撤廃は、安倍首相が執念を燃やす「海外で戦争する国」づくりと密接不可分です。河野洋平元自民党総裁(元衆院議長)も、「解釈改憲の動きや、首相の靖国神社参拝などが、米国をはじめ欧米各国にも『戦前回帰』などと不安を与えていることを考えれば、『死の商人』の仲間になるような政策転換はすべきではない」と語っています(「東京」23日付)。「死の商人」の仲間入り宣言といえる閣議決定はやめるべきです。
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