青年ユニオンが指摘 「賃上げ・増員を」
外食産業最大手ゼンショーグループが全国1985店舗を誇る牛丼チェーン「すき家」に一時閉店が相次いでいると話題になっています。過酷な労働で人員不足におちいっている「すき家」の実態が浮かびあがってきました。 (前田智也、田代正則)
東京都内ですき家を探し歩くと、「年中無休24時間営業」のはずが店内真っ暗となっている店舗がそこかしこにあります。
3月中旬から、すき家閉店がインターネット短文投稿サービスのツイッターなどで話題となりました。ゼンショーは24日、公式ホームページに「リニューアル(改装)工事」を順次開始すると発表しました。ゼンショー広報は、現在、全国百数十店舗がリニューアル閉店中だとしています。
はっきりと貼り紙
公式ホームページで営業中となっているのに閉店している店舗も。はっきり「人員不足」と貼り紙されているところもあります。
八王子市の八王子東町店は、21日午後6時~22日午前9時まで、人員不足で閉店していました。
武蔵野市の「井ノ頭通り吉祥寺店」は、21日に「機器メンテナンスの為、閉店させていただきます」と貼り紙していました。24日には「人員不足の為、カウンター席のみの営業となっております」と書いてありました。
ツイッターには、全国各地で突発的に閉店した店舗の画像が投稿されています。
24時間連続シフト
職場はどうなっているのか。深夜の勤務シフトを終えた女性店員は「24時間続けてシフトに入っていました」と悲鳴をあげました。
「新メニューの牛すき鍋定食がとにかく負担なんです」。牛丼などの従来メニューは、工場である程度調理しておき、店舗で仕上げて提供していました。牛すき鍋定食は、店舗での仕込みの手間が格段に求められるといいます。
「同じ時給でもっと楽な仕事があるので、店員がやめていくのではないでしょうか」とも。
すき家は、店舗にぎりぎりの人員しか配置しないことで有名でした。その時間帯の売り上げによって、人員配置数を決めているため、仕込みにかかる手間が考慮されていない、との不満の声が店員からあがっています。
この女性の働く店舗は、近隣店舗が一時閉店になっており、営業中の同店に客が集中しているといいます。
組合員のいる店は
首都圏青年ユニオンの山田真吾事務局長は「すき家は、深夜帯に『ワンオペ』といわれる1人勤務をさせるため、休憩が取れない、体調不良でも休ませてもらえない、という訴えがありました。強盗が頻発する問題もありました」と指摘します。
会社は一時期、青年ユニオンとの団体交渉を拒否していましたが、現在は和解し、昨年から団体交渉に応じています。組合員たちの昇給差別が是正され、一気に時給20円~30円引き上げとなりました。組合員のいる店舗で閉店は起こっていない、といいます。
青年ユニオンは、すべてのアルバイトの時給水準引き上げ、休憩のとれる人員配置で、人間らしく働ける職場にするよう会社に要求。会社都合の閉店時の賃金補償について、店員の相談に応じるとしています。
ゼンショー広報は、本紙に対し、リニューアルによる一時閉店は、人員不足とは別問題だとしつつ、「イレギュラー(不規則な事態)による閉店は、過去から起きていた問題です」と回答。1人勤務体制が閉店を起こしやすい原因ではないかとの質問に、「そういうところを含めて、対応したい」と答えました。