主張

自治体カジノ

ギャンブルに住民まきこむな

 開会中の地方議会で、賭博場・カジノの呼び込みに名乗りをあげる自治体が相次いでいます。

 これまで「県民合意が前提」としてきた沖縄県の仲井真弘多知事が「先に手をあげないと競争に負ける」と誘致を表明、長崎県も佐世保市へのカジノ誘致へ「県・市推進協議会」を立ち上げました。横浜市は2014年度から庁内横断のカジノ推進プロジェクトチームまで設置しようとしています。

犯罪に手を出すのか

 カジノは、ルーレットやバカラ、スロットマシンなどの遊技・ゲームを無制限の賭博にしたものです。賭博そのものの開帳行為であり、刑法185、186条に反する犯罪です。それに、地方自治体が積極的に加担することは本来あってはならないはずです。

 国会には、自民、維新、生活の各党が昨年末、カジノ合法化法案を提出し、継続審議となっています。この動きを先導してきた超党派の「国際観光産業振興議員連盟」(カジノ議連=自民、公明、維新、民主、みんな、結い、生活、無所属の国会議員約180人)は5月の連休明けからの審議入りを狙い、「6月の通常国会会期末までに成立させる」(議連会長の細田博之自民党幹事長代行)と豪語しています。

 カジノ合法化は絶対に許されません。推進勢力は、カジノの開設によって国際観光、地域経済の振興、税収の増加によりカジノの収益が社会に還元されるといいますが、なんの根拠もありません。

 すでに複数の国際的なカジノ資本が、日本のカジノへの数千億円規模の巨額投資の意思を表明しています。いまや世界の長者番付の常連となっているこれらの企業は、慈善事業ではありません。日本のカジノ市場から巨利を得ることを虎視眈々(たんたん)とねらっているのです。

 これと手を結んでカジノ事業で利権を得ようとしている国内の事業者、企業も「金もうけ」だけが目的です。彼らは、ギャンブルが社会にどれだけ大きな被害と損失を与えようと、それに責任をとることはありません。

 カジノは、人間の弱みに付け込み、多くの人を食い物にする賭博だからこそ、途方も無い巨額の収益を生むのです。社会に還元されるという「利益」は、そのおこぼれにすぎません。

 カジノの最大の弊害であるギャンブル依存症の問題で日本の取り組みは立ち遅れています。カジノ推進勢力は、カジノの収益金の一部を依存症対策に充てるといいます。依存症対策を逆にカジノ合法化の口実にあげる、まやかしです。すでに深刻な依存症被害があり、たくさんの人が苦しんでいる日本に、なぜ最悪のギャンブル施設であるカジノを新たに上陸させることが許されるのでしょうか。

ばくちの片棒かつぐな

 安倍晋三内閣は、「成長戦略」の柱に観光立国をあげ、その目玉の一つにカジノを位置づけています。国民のくらしを温めるまともな経済対策をすすめるのでなく、カジノを持ち出すこと自体「成長戦略」の破たんを示すものです。

 これに踊らされ、多額の税金を注ぎ込んでいる地方自治体もあります。自治の本旨は「住民の福祉の向上」です。住民の未来をカジノにかけるばくちはやめるべきです。