主張
予算案の衆院通過
消費税増税の無謀さは明白だ
4月からの消費税大増税を大きな柱にした2014年度政府予算案が、自民、公明などの賛成多数で衆院本会議で可決され、参院に送付されました。17年ぶりの消費税率の引き上げなどで国民に大きな負担を強いる一方、軍事費や大企業向けの大型公共事業などには大盤振る舞いの典型的な「逆立ち予算」です。国民の暮らしの実態をかえりみず大増税を実施すれば、国内消費をさらに冷え込ませ経済の土台を壊します。参院の徹底審議で抜本的に組み替えるべきです。
偽りの「充実」看板
消費税率8%への引き上げまで1カ月と迫るなか、財務省が全国各地で「社会保障と税の一体改革説明会」を開き、弁明におわれています。なぜ税率引き上げか、引き上げ分を何に使うのか、など国民の疑問に答えるとした企画です。こんな言い訳の説明会を毎日のように行わざる得ないところに、消費税大増税への国民の不安と怒りの深さが示されています。
「消費税増税は社会保障のため」という口実の破たんは、いよいよ明らかです。消費税大増税で国民に8兆円もの負担を強いておきながら、14年度に社会保障の「充実」にあてられる国費分は、政府の説明でもわずか2200億円程度にすぎません。しかも「充実」の名の下で実行する政策のなかには、介護保険制度改悪のための準備の予算も含んでいます。看板の“偽装”は隠しようがありません。
14年度予算案で社会保障費の伸び率は、予算全体の伸びを下回りました。高齢化などによる自然増分すらまかなうことができなくなっています。その結果、年金、児童扶養手当、生活保護費などを13年度に続き大幅にカットする方針が次々と盛り込まれました。歴代政権が導入を見送ってきた、70~74歳の医療費窓口負担の2割への段階的な引き上げも、高齢者の生活の現実を無視したやり方です。
高齢者やひとり親家庭、生活保護世帯などは安倍晋三内閣の経済政策「アベノミクス」などによる生活必需品の高騰で、すでに苦境に追い込まれています。そこに消費税増税の追い打ちをかけられたうえ、頼みの年金・手当まで削られては、暮らしは成り立ちません。診療報酬の実質マイナス改定は、地域医療を疲弊させ「医療崩壊」をもたらします。国民の所得を冷え込ませる消費税増税実行と、安心の土台である社会保障の解体加速を盛り込んだ予算案は、日本経済の深刻な悪循環の、新たな“引き金”を引くものです。
暮らしや社会保障などへの冷たさと対照的に、軍事費や大型公共事業費が2年連続で大きく突出していることは異常そのものです。暮らしを犠牲にしながら「戦争をする国づくり」に向けて軍事予算を拡充することは、国のあり方として間違っています。“国の財政がきびしい”と国民の暮らしに犠牲を求めながら、不要不急の大型公共事業に税金を注ぎ込むことは財政危機をすすめる逆行です。
暮らしを支える政治こそ
消費税大増税の4月実施に突き進むことは、未来に禍根を残します。日本共産党は消費税増税中止などを求める予算組み替え案を提出しました。無謀な消費税大増税を中止し、働く人の賃上げ、中小企業の営業を守るなど国民の所得を増やすことを最優先にした経済政策に転じることが急がれます。