福祉・くらし第一 安倍暴走政治ストップ
「2強」報道 超えた
「一人ひとりは微力だが、決して無力ではない。今回はそれを実践した選挙」「メディアの『2強対決報道』を超える運動ができた」。東京都知事選投票日の9日夜、宇都宮健児氏=日弁連前会長、日本共産党・社民党など推薦=は、記者会見と支援者の集会で、こう語りました。(岡部裕三、村崎直人)
知事選の対決軸は「舛添要一元厚労相・安倍晋三首相」VS「細川・小泉純一郎元首相」―とキャンペーンを張ったメディアへの痛烈な批判です。
大雪のなか投票率が46・14%に下がったもとで、宇都宮氏は前回知事選(2012年12月)の得票を上回る98万2594票(得票率20・18%)を獲得する大健闘でした。前回得票を1万3634票、得票率も5・14ポイントも上回りました。日本共産党が推薦する候補者が20%を超えたのは、1983年以来です。
一方、自民党都連、公明党都本部の推薦を受けた舛添氏の得票は、211万2979票で、得票率は43・40%でした。
民主・結い・生活の党、都議会生活者ネットや小泉純一郎元首相の支援を受けた細川護熙(もりひろ)元首相は、宇都宮氏の得票を下回りました。
「家族で投票」
宇都宮氏は、都知事選で(1)福祉に冷たく大型開発優先の石原・猪瀬都政から、福祉・暮らし第一の都政への転換(2)国民の願いに逆行する安倍政権の暴走政治ストップ―を正面から訴えた唯一の候補でした。
猪瀬前知事の徳洲会裏献金疑惑の追及、利権政治から決別し、清潔な都政への転換を主張したのも宇都宮氏だけでした。
宇都宮氏は、保育所や特別養護老人ホームの待機者解消、都営住宅の大量建設、ブラック企業規制条例制定、原発ゼロ・被ばく防止など幅広い都民から寄せられた要望を政策に取り込み、その実現を熱心に訴えました。
宇都宮氏の政策と主張は、都民の中に支持と共感を広げました。
そのことは、9日の各メディアの出口調査で、「医療・福祉」を重視した有権者で宇都宮氏に投票した人が舛添氏に次いで多かったこともからもうかがわれます。
「家族で話し合って、今回は宇都宮さんに投票した。政策が抜群によかったから」。自民党の役員は、記者にこう語りました。
自公票下回る
「自公が総力支援」(「読売」10日付)、「与党総力戦」(「朝日」同日付)―と各メディアがこう報じるほど、自民党は公明党とともに知事選で国会議員、都議ら地方議員を駆り立てて、舛添氏支援に全力をあげました。
同党の集票マシンと呼ばれる東京都各種団体協議会(約300団体)も国政選挙・都議選なみの業界締め付け選挙を展開しました。
9日夜、菅義偉官房長官は、自民党本部で開かれた祝賀会で「安倍政権とほぼ同じ方向性を一にする舛添知事が誕生したことは、これからの政権運営にとっても極めて大きい成果だ」と喜びました。
しかし、舛添氏の得票は、昨年夏の参院選での自公両党の比例票248万票には及びませんでした。
舛添氏は福祉の充実を繰り返し強調し、出馬会見では「私は脱原発を言い続けている」と表明。選挙ではそのことで舛添氏に投票した都民も多くいました。
安倍政権は、知事選結果を受けて原発再稼働を急ごうとしていますが、知事選結果は都民が再稼働を認めたことにはなりません。
共同を大切に奮闘した共産党
今回の都知事選で、日本共産党は、宇都宮氏の確認団体「希望のまち東京をつくる会」に集まった幅広い市民や団体、他の推薦政党との共同を大切にしてたたかいました。各地で無党派や他党の人たちといっしょに宣伝、対話・支持拡大に取り組み、全国にも支援を呼びかけるなど選挙勝利に全力をあげました。
日本共産党が昨年の都議選、参院選で躍進し、都政でも国会でも影響力を強めました。このことが、今回の共同の広がりと前進に大きく貢献し、宇都宮氏への支持を急速に広げる大健闘に結実しました。